カスタマイズ 2021.08.16 2024.12.17
WordPressを多言語化する方法を初心者向けに解説
日本語サイトは言語上の問題から海外ユーザーの目に触れる機会が限られています。しかし、多言語対応することで海外ユーザーからのアクセスが期待できます。さらに日本に滞在する外国人へ向けた情報発信手段としても、日本の商品・サービスに関心を持つ外国人向けに商品やサービスの魅力を発信する手段としても多言語サイトは有効です。
今回は、WordPressサイトを多言語化する具体的な方法、そして各メリット・デメリットを解説します。
WordPressサイトを多言語化すべき理由とは
Webサイトの多言語化とは、同一サイトのコンテンツを日本語以外にも複数の言語で提供することを指します。例えば、日本政府観光局が運営する訪日観光情報サイト「Travel Japan」(https://www.japan.travel/)では、日本語、英語、中国語を含め26か国語で表示可能な多言語対応がされています。
(参考)日本政府観光局が運営する「Travel Japan」
さまざまな国の言語でコンテンツを表示することで、日本語を理解できないユーザーに対しても情報を提供でき、アクセス数の向上が期待できます。
多言語化が求められる3つの理由
一つ目は、外国人観光客の増加です。近年、年間2500万人を超える外国人旅行者が日本を訪れています。それに伴い、観光地の施設やホテル・レストランなどの店舗、情報サイトなどを外国語で閲覧したいというニーズ、外国人に対して自分たちの情報を外国語で伝えたいというニーズの両方が増加しています。
二つ目は、在日外国人の増加です。グローバル化に伴い日本企業で働く外国人や留学生などが増加しています。そのため、業務をする上、または生活をする上で、必要なルールや知ってもらいたい情報を伝えるための手段として多言語化のニーズが増加しています。
三つ目は、国外からWebサイトへアクセスするユーザーの増加です。海外から日本の商品を購入したいケースや日本文化に関心があり情報収集するケースなど、さまざまなケースが考えられます。
これらのニーズに対応して自社サイトを多言語化することで、顧客層の拡大や認知度の向上、さらには売り上げの増加につなげることが期待されています。
WordPressサイトを多言語化する4つの方法
WordPressサイトを多言語化する方法は、以下の4つの方法があります。
- 【方法1】言語/地域ごとにマルチサイトを構築する
- 【方法2】多言語対応プラグインを導入する
- 【方法3】翻訳プラグインを搭載する(同一サイトで多言語化する)
- 【方法4】多言語対応テーマを導入する
方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|
言語/地域ごとにマルチサイトを構築 | ・ターゲットに合わせた構成・コンテンツ作成ができる | ・工数・コストがかかる ・サイトごとにコンテンツ作成・管理が必要 ・サイト数が増えるとサーバー負荷が大きい ・サブドメインの場合はSEO評価を引き継がない |
多言語対応プラグインを導入 | ・マルチサイトよりも効率的に多言語対応できる | ・言語ごとに異なるページを作成するため、管理するコンテンツ量が増加する |
翻訳プラグインで多言語化する | ・手軽に導入でき初期設定も容易 ・リアルタイムで自動翻訳できる |
・機械翻訳だけだと誤訳のリスクがある |
多言語対応テーマを導入する | ・多言語化に特化した機能を搭載している ・言語切り替えによるデザイン崩れなどが少ない |
・言語ごとにコンテンツ作成・管理が必要 |
以下で詳しく説明していきます。
【方法1】言語/地域ごとにマルチサイトを構築する
一つ目の方法は、言語や地域ごとに異なるWebサイトを構築する方法です。例えば、ファスナーで有名なYKK株式会社では、日本語サイトのほか、英語、中国語でそれぞれ別サイトを運営しています。それぞれのサイトで、掲載している内容も異なっています。地域で分けるケースでは、EU、北アメリカ、南アメリカ、などのようにエリアごとにそれぞれサイトを構築します。
WordPressサイトの場合は、複数サイトを効率的に構築できるマルチサイトという機能があります。これは、一つのWordPressで複数のサイトを運営することです。この方法では各サイトが独立して運営されるため、コンテンツやデザインを柔軟にカスタマイズできます。
サイトごとにWordPressを用意する場合、設定やプラグインのインストールを都度行う必要があり運営コストがかさみます。一方、マルチサイトであれば一つのWordPress内で複数サイトを運営できるため、テーマやプラグインの管理が容易です。
また、デザインテーマ、プラグイン、各種設定も引き継がれるため、カスタマイズの手間は最小限に抑えられます。
【主な手順】
- どの言語/地域のサイトを構築するか決定する
- どのページを翻訳するか決定する
- 翻訳する
- URL構造を決定する(サブドメイン/サブディレクトリ)
- マルチサイトを構築する
- メニューなどを該当言語に変更する
- 翻訳したコンテンツをWordPressに登録する
- hreflangタグの設定をする
URL構造は2種類ある
マルチサイトには「サブディレクトリ型」「サブドメイン型」の2種類があるため、それぞれ特徴を説明します。
サブディレクトリ型
https://wpmake.jp/contents/wp-content/uploads/2021/07/multilingualization1.png.webp
サブディレクトリ型とは、画像のように「ja」「en」と言語に応じて、ドメインの/以下の部分を振り分けるディレクトリ構造です。同一ドメインとなるため、SEO効果を引き継ぐ上、管理もしやすい特徴があります。
サブディレクトリ型で多言語化するメリット
- サイト内が整理される
- ドメインのSEO効果を引き継げる
- 言語ごとにディレクトリを増やせるため手軽
サブディレクトリ型で多言語化するデメリット
- ディレクトリ構造を変更するとURLも変わってしまう
サブドメイン型
https://wpmake.jp/contents/wp-content/uploads/2021/07/multilingualization2.png.webp
サブドメイン型とは、ドメインの前をそれぞれ区切って運用する方法です。サブディレクトリのように、同一ドメイン内でカテゴリを振り分けるのではなく、それぞれ別コンテンツの新規サイトを立ち上げるイメージです。
なお、サブドメインはもともと取得したドメインの影響を受けにくい特徴があります。そのため元のドメインがSEO対策を強化していても、サブドメインのサイト順位は上がりにくいです。
サブドメイン型のメリット
- 独立した別サイトとして扱える
- 別のジャンルを扱える
- 新規サイトを別ドメインで開設するより費用がかからない
サブドメイン型のデメリット
- 元のドメインからSEO効果を得にくい
- Googleアナリティクス等の設定、管理も別々なので作業工数が増加する
【方法2】多言語対応プラグインを導入する
Webサイトを分けるほどではないけれども多言語化は行いたいという場合は、多言語対応プラグインを導入する方法があります。これは、日本語のぺージに紐づけて英語や中国語などのコンテンツを登録できるものです。
マルチサイト運用は負担が大きいので避けたいといったケースでは、この方法がおすすめです。
【主な手順】
- どの言語に対応するか決定する
- どのページを翻訳するか決定する
- 翻訳する
- URL構造を決定する(サブドメイン/サブディレクトリ)
- 多言語対応プラグインを導入・設定する
- 翻訳したコンテンツをWordPressに登録する
WordPressの多言語化におすすめのプラグイン3選
WordPressの大規模サイト、企業用サイトにおすすめの多言語プラグインを3選ご紹介します。
WPML
世界で100万以上のWebサイトに導入されている定番プラグインが「WPML」です。
単一のWordPressのインストールで、多言語サイトを構築できて40以上の言語に対応可能でサブディレクトリやサブドメインでも利用できます。
価格目安は以下の通りです。
- 多言語ブログ:39ユーロ/1年
- MULTILINGUAL CMS:99ユーロ/1年
- 多言語エージェンシー:199ユーロ/1年
Polylang
https://wpmake.jp/contents/wp-content/uploads/2021/07/multilingualization4.png.webp
Polylangは、2カ国以上のWordPressサイトの作成に対応している無料プラグイン。
まず日本語で記事、タグ、カテゴリを作成した後、他言語でも同様に作成し、関連付けをするだけで利用できます。
URLについても、サブドメイン型・サブディレクトリ型を選択できるため、汎用性が高く企業用にもおすすめ。
また「Lingotek Translationプラグイン」をインストールすると、自動翻訳機能も追加でき便利です。
Bogo
https://wpmake.jp/contents/wp-content/uploads/2021/07/multilingualization5.png.webp
お問い合わせフォームのプラグインで有名な「Contact Form7」の開発者である三好 隆之氏が制作した無料プラグインです。
1投稿につき1言語を割り当てるプラグインで、日本語記事を投稿後に、他言語記事を投稿します。
言語ごとにディレクトリを配置するため、SEOの効果も引き継ぎ可能。
無料で気軽に導入できる点も魅力です。
【方法3】翻訳プラグインを搭載して多言語にする
今回紹介した4つの方法のうち、もっとも手軽に導入できるのが翻訳プラグインを使用する方法です。Google翻訳やDeepL翻訳などの機能を提供しており、プラグインを通じてユーザーが選択した言語に自動翻訳されます。
無料で使用できるプラグインは自動翻訳のみで、翻訳内容が編集できない製品が主流です。できるだけ誤訳を避けるために、文章内に必ず主語を入れることや、可能な限り翻訳しにくい表現を避けるといった工夫をすることも重要です。
なお翻訳ミスを回避するためには、「Weglot」や「Translate WordPress with GTranslate」有料版など、翻訳編集が可能なプラグインを導入するのがおすすめです。
Translate WordPress with GTranslate
https://ja.wordpress.org/plugins/gtranslate/
2008年から翻訳サービスを運営しているGTranslateが提供するプラグインです。Googleの自動翻訳を利用しており104か国語に対応しているのが特徴。自動翻訳を修正できる翻訳編集機能は有料版のみ対応しています。
Weglot
https://ja.wordpress.org/plugins/weglot/
インストールや設定作業が簡単で、かつ翻訳品質の高いことから人気がある翻訳プラグインです。対応言語数は110か国語以上で、DeepL、Google Translate、Microsoftがそれぞれ提供する自動翻訳を利用しています。10日間無料トライアルあり。
【方法4】多言語対応テーマを導入する
多言語対応したテーマを導入してWordPressの多言語化を実現する方法もあります。多言語化に特化した機能も多数搭載しており、マニュアルやサポートが用意されている点も魅力です。「LIQUID PRESS」など日本企業が開発したテーマもあり、数万円で購入可能です。
https://tcd-theme.com/tcd069?pid=5cdfa0cc8ecf9&cid=c01jdsmz5a6b1gpvff445rcxrnv
EU圏のユーザーをターゲットにする場合はGDPR対応が必要
WordPressサイトを多言語化する際には、プライバシー保護に関する対応が必要な点にも注意が必要です。例えばEU圏で適用されるGDPR(General Data Protection Regulation:EU一般データ保護規則)は、EU圏内に居住するユーザーがアクセスしたサイトに対して罰則が適用されます。
GDPR違反として多額の罰金を請求されるケースも発生しており、トラブルを回避するためにはプライバシーポリシーの明示やCookie許諾など、 適切な対応を取ることが求められます。
日本企業のGDPR違反事例としては、2022年11月にNTTデータのスペイン子会社であるEVERIS/NTT Data Spainに対し、データ漏えいによりGDPR違反として、スペインデータ保護当局AEPDから6万4,000ユーロ(約930万円)の罰金を課されています。
参考:【2022年】GDPR違反による日本企業初の制裁金事例を解説!~概要から違反の内容まで~
WordPressサイトの多言語化はSEOにも効果的
WordPressサイトを多言語化することは、SEOにおいても効果が期待できます。単純に対応した言語の数だけコンテンツ量が増加することに加え、今までは言語の問題で逃していたユーザーを獲得できる可能性があるためです。
ただし、各言語の検索エンジンで上位表示を狙うのであれば、その言語(国)に合わせたSEO対策が必要です。
多言語化する際にはhreflangタグを使用するのがおすすめ
WordPresサイトの多言語化を行う際には、hreflangタグの設定を行うことが推奨されています。hreflangタグは、検索エンジンに対して特定のページがどの言語や地域向けであるかを示すためのHTMLタグです。
適切な言語バージョンの表示や重複コンテンツの回避を行うために必要な情報なので、忘れずに設定しましょう。
【hreflangタグの設定例】
1 2 |
<link rel="alternate" href="https://example.com/" hreflang="en" /> <link rel="alternate" href="https://example.com/ja/" hreflang="ja" /> |
海外からのユーザーを獲得するためには多言語化が有効
WordPressサイトの多言語化は、外国人ユーザーのアクセス増加やSEOへの良い影響など魅力的なメリットが多数あります。しかし、多言語化を行うためには手間も費用もかかる上、GDPRのような法的なリスクも伴います。また、実際にはプラグイン同士の干渉や運営管理、自動翻訳では海外ユーザーに正しく伝わらないなどの課題があるなど、全てを自社で行うのはかなり大きな負担です。
これらを考慮すると、WordPressサイトの多言語化は、実績豊富なWeb制作会社への委託も視野に入れた方がよいでしょう。WordPressサイトのカスタマイズ実績が豊富なwp.makeもおすすめです!
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