基礎知識 2019.10.24 2025.11.12
WordPressとDrupalはどちらがおすすめ?(比較表つき)
Webサイト構築で最も頻繁に名前が挙がるCMSが、WordPressとDrupalです。どちらもオープンソースで広く利用されていますが、ターゲットユーザーや強みは明確に異なります。
本記事は、WordPressとDrupalについて技術力、拡張性、セキュリティなど7つの視点から比較した結果を紹介します。CMS選定を考えている方にとって参考になる内容を目指しました。
WordPressとDrupal、7つの視点で比較する
WordPressはオープンソースのブログ管理システムとして2003年に初版がリリースされ、全Webサイトの40%以上を支えるCMSにまで成長しました。直感的な管理画面と豊富なプラグインにより、非エンジニアでも短期間にサイトを構築・運用できる点が強みです。特に中小企業や個人事業主にとっては、コストを抑えつつスピーディに立ち上げられる点が魅力で人気があります。
一方、Drupalは2000年に誕生したCMSで、コミュニティ向けのニュースサイトを起源としています。モジュールベースで複雑な権限設定や多言語対応などに対応できるため、大規模サイトやセキュリティ要件が厳しい政府機関、教育機関、エンタープライズ用途での採用が目立ちます。カスタマイズ性と堅牢性に優れる反面、開発・運用には専門的なスキルと工数が必要です。
結論として、どちらが優れているかはユースケース次第です。一般的には、中小企業や個人事業主から政府機関や上場企業まで幅広く利用されているのがWordPress、対してセキュリティを重視する大手企業や高度なカスタマイズが必要な大規模サイトなどの場合はDrupalが適していると言われています。
それだけでなく、予算や開発体制、AIへの対応など、それぞれの違いを理解して選定することが重要です。次項で詳しく見ていきます。
| WordPress | Drupal | |
|---|---|---|
| マーケットシェア | 非常に高い(60.6%) | 低い(1.1%) |
| 開発の容易さ | 初心者でも開発可能 | 専門知識が必要 |
| 機能拡張(プラグイン/モジュール) | 7万以上/数クリックで搭載可能 | 5万以上/搭載には開発知識が必要 |
| 開発コスト | 比較的低い(非エンジニアでも可) | 比較的高い(エンジニア必須) |
| セキュリティ | 標的になりやすい | 標的になりにくい/セキュリティに強み |
| 設計 | 個人・小規模サイト向け | 企業・大規模サイト向け |
| 生成AIフレームワーク | AI Building Blocks(2027標準搭載予定) | AIモジュール(リリース済) |
マーケットシェアは圧倒的にWordPressが高い
WordPressはCMS市場で圧倒的な存在感を示しており、CMS内シェアは60.6%、CMSを含む全Webサイトの43.2%がWordPressで構築されています。個人ブログから企業サイト、ECまで幅広い用途で利用されています。
対照的にDrupalのCMS内シェアは約1.1%に留まり、採用事例は限定的です。これはDrupalの導入・運用には専門的な技術力と工数が必要となることがシェアの差につながっています。
参照:https://w3techs.com/technologies/overview/content_management
初心者の使いやすさ(開発の容易さ)はWordPress
WordPressは、初心者でも扱いやすいCMSとして圧倒的な支持を集めています。
ブロックエディターを中心にコーディング知識を持たない非エンジニアやデザイナーでも見栄えが良いサイトを構築できるよう設計されており、直感的な管理画面や豊富なテーマ・プラグインが用意されています。
主要なレンタルサーバーでは数クリックでWordPressをインストールできる機能が提供されており、導入ハードルは非常に低くなっています。加えて、インターネット上には豊富な情報やコミュニティがあり、困ったときの解決手段が見つけやすいのも大きな魅力です。
対照的にDrupalでは、初期設定やカスタマイズにプログラミングや専門の知識が求められます。初期設定時にサーバーやデータベースの設定作業に加え、機能追加にも開発知識が必要です。非エンジニアにとってはハードルが高く、開発者のサポートが必要になる場面も多いです。
そのため、「自分で運用したい」「すぐに公開したい」というニーズにはWordPressが適しており、「複雑な機能を組み込みたい」「セキュリティを厳密に管理したい」場合にはDrupalが適しています。
WordPressは機能拡張が容易
WordPressの強みは、プラグインを使った手軽な機能拡張にあります。
フォーム作成、SEO、セキュリティ、ECなど、目的に応じたプラグインをインストールするだけで追加できます。また、プラグインは無料・有料合わせておよそ7万件の選択肢から最適なものを選べます。公式ディレクトリで配布されているプラグインは管理画面から設定が可能なため、短期間かつ低コストで追加できる点が大きな利点です。
Drupal側では、WordPressのプラグインと同等の役割を担う拡張機能は「モジュール」と呼びます。基本機能として数多くの機能が提供されているほか、Drupalサイトで公開されている約5.5万個のモジュールから必要に応じて追加することが可能です。
ただし、モジュールの導入や高度な設定にはコマンド操作や技術的な知識が必要です。例えば、モジュールを追加する際にはインストールコマンドを使用してDrupalにインストールする必要があります。
慣れてしまえばそれほど苦ではないですが、非エンジニアにはやや敷居が高いです。
そのため、「すぐに使える機能を追加したい」「ノーコードで拡張したい」というニーズにはWordPressが適しており、「細かく制御したい」「独自仕様に対応したい」場合にはDrupalが力を発揮します。
開発コストはWordPressのほうが抑えられる傾向
WordPressとDrupalはどちらもライセンス自体は無料ですが、実際の構築・運用コストには明確な差が出ることが多いです。
WordPressはテーマ・プラグインが豊富で、社内での構築・運用や低コストの外注が可能です。さらに、WordPressに精通した技術者や制作会社が数多く存在するため、相対的に開発・保守の単価を低く抑えやすいという利点があります。
対してDrupalは、要件定義や設計などで高度なスキルが求められるため、専門の開発会社への依頼が前提となり構築・運用コストが高くなりがちです。特に大規模サイトや複雑なカスタマイズを行う場合は開発費用が増大します。
そのため、「まずは低コストで始めたい」「自社である程度運用したい」という場合はWordPressが適しており、「長期的に拡張したい」「複雑な要件に対応したい」場合にはDrupalが適しています。
セキュリティ面ではDrupalに軍配
Drupalは堅牢なアクセス制御や細やかな権限管理が標準搭載されており、セキュリティ対応の成熟度が高いと評価されています。利用者数が少ないことから、サイバー攻撃の標的になりにくいという利点もあります。
WordPressも決してセキュリティが脆弱なわけではありませんが、市場シェアが非常に高く、無差別なサイバー攻撃の標的になりやすいリスクがあります。個人や初心者も多く使用しているため設定や更新が不十分なサイトが一定程度存在することも標的になりやすい一因です。加えて多種多様なプラグインやテーマの中には保守が不十分なものや脆弱性を抱えるものが混在しているため、利用する側で十分な注意が必要です。
とはいえ、WordPressでも定期的なアップデートや信頼性の高いプラグインの選定、セキュリティ対策プラグインの導入などを行えば、十分な安全性を確保できます。非エンジニアでも、基本的な対策を講じることでリスクを抑えることが可能です。
Drupalは企業向け設計でカスタマイズ性に優れている
Drupalは企業や公共機関での利用を念頭に設計されたCMSで、高いカスタマイズ性と拡張性を備えています。複数システムとの連携や細かな権限管理など企業固有の複雑な要件を満たし、大規模サイトでも安定して動作するため、信頼性が求められる場面に強みを発揮します。
WordPressでもプラグインやカスタム開発で同等の機能を実装できることはありますが、その場合はパフォーマンス低下、アップデート運用の複雑化、脆弱性管理の負荷増加といったリスクを伴います。
そのため、「企業向けにしっかり設計したい」「複雑な業務フローをWebに反映したい」という場合にはDrupalが採用される傾向があります。
生成AI関連機能はDrupalが半歩先を行っている
近年、CMSにも生成AIの波が押し寄せており、Drupalはこの分野で一歩先を進んでいます。既に「AIモジュール」が提供されており、ChatGPTやClaudeなどの外部AIと連携してコンテンツ生成や翻訳、分類などを行うことが可能です。
参考:Drupalの「AIモジュール」のページ
https://www.drupal.org/project/ai
一方、WordPressにおいても外部企業が数多くのAIプラグインを開発・公開しているほか、WordPress本体にも生成AI機能の導入計画が進められています。2025年7月に「AI Building Blocks」という新機能が公開され、2027年に予定されているWordPress 7.0のリリース時に一部の機能がコア機能として搭載される見込みです。
AI関連機能に関しては現時点ではDrupalが先行していますが、WordPressも急速に追いついています。
wp.geek編集部 解説:自社にとっての「最適なCMS」を見つることが重要
WordPressとDrupalはいずれも実績あるCMSで、用途や社内のスキルセットによって最適解が変わります。とはいえ、WordPressの圧倒的な普及率は情報の多さやプラグインの豊富さ、開発者コミュニティの活発さなどに繋がっており、多くの場合で有利な選択肢になるでしょう。
そのため、2つのCMSを選ぶポイントは「開発コスト」や「外注の有無」に絞られるように思われます。低コストでの開発やサイト運営の内製化を考えるのであればWordPressを、開発費に余裕があり、自社のニーズに沿った個別機能や高度なセキュリティを実現したいのであればDrupalを選ぶのが賢明です。
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