基礎知識 2021.07.29 2023.07.26
WordPressと静的HTMLの違いは?共存させる方法や使い分けについて
「WordPressと静的HTMLの違い」と聞いて、明確に答えられない方もいるでしょう。
WordPressと静的HTMLにはさまざまな違いがあり、それゆえメリット・デメリットが異なっています。
WordPressと静的HTMLのメリットやデメリットと合わせて、共存させる方法やメリットやデメリットについて解説します。
WordPressと静的HTMLの違いが気になっている方は、サイト制作や運用の参考にしてください。
目次
WordPressと静的HTMLの違いはメンテナンス性にある
黎明期のホームページの作成と言えば、HTMLとCSSのファイルを用意して固定したサイトを作成する方法である、静的HTMLが一般的でした。
しかし、静的HTMLには、更新するのにHTMLの知識が必要なことや、FTPを使ったサーバーへのアップロードなどの専門的な作業が求められることから、メンテナンス性に課題がありました。
それを解消する為に、CMS(Contents Management System)という、サイト更新を誰でも簡単にできる新しいシステムが作られました。その一つがWordPressです。
WordPressは、PHPという言語で作られており、WEBサーバーを使って動的なページ更新が可能になりました。
動的なページ更新とは、アクセスしたユーザーに対して、与えられたステータスや情報により、異なるページをその都度生成するシステムです。
CMSの登場によりメンテナンス性が改善され、サイト更新の作業効率は飛躍的に伸びました。
また、WordPressはページの使いまわし(例:ヘッダーやフッター、サイドバー等)が可能で、プラグインで機能を簡単に追加できるため、新たな機能を作成する際の費用や手間を削減することが出来るという、大きなメリットがあったのです。
WordPressと静的HTMLにはメリット・デメリットがある
WordPressと静的HTMLには、それぞれにメリット・デメリットがあります。
WordPress | 静的HTML | |
---|---|---|
メリット |
|
|
デメリット |
|
|
WordPressは、PHP(プログラム)やMySQL(データベース)などを利用しており、管理のしやすさに特徴があるシステムです。
しかし、プラグインの不調やプログラムのアップデートなどの些細なエラーで、サイト内全てが非表示になるおそれがあります。
一方、静的HTMLは、安定性が特徴です。
静的HTMLで作成されたサイトは、サイトが表示されないトラブルが少なく、あったとしてもレイアウトが崩れる程度で済む傾向があります。
仮に、重要なサイトがアップデートエラー等で数時間停止してしまえば、大きな損失につながるリスクがあります。
安定性の高さから、リアルタイムの情報反映が必要のないサイトについては、静的HTMLでの運用が好まれる傾向があるのです。
また、複数ページの必要がないLP(ランディング)ページなどについても、読み込み速度や安定性を考慮して、独立したサイトとして静的HTMLで作成される傾向があります。
WordPressと静的HTMLは、それぞれにメリット・デメリットがあり、サイトに何を求めるかによって使い分けられています。
WordPressと静的HTMLを共存させるケース
それぞれのメリット・デメリットを補うため、WordPressと静的HTMLを共存させるケースもあります。
メリットやデメリットを正確に把握して、ケースバイケース運用することは、サイトの保全性を保つための良い手段です。
【共存させるメリット】
- 読み込み速度が速いのでLPなどに向いている
- そのまま既存のサイトを読み出せる
- PHP機能が落ちた場合にも、HTMLサイトは読み出せる
サイトの表示速度を重視する場合は、読み込み速度が早い静的HTMLを共存させるメリットがあります。
【共存させるデメリット】
- 管理が煩雑になる
- PHP機能かHTMLどちらかが利用できない場合、リンク先がエラーになる
- セキュリティの範囲が異なるため、URLがPHPとHTMLファイルが混在することになり、混乱を生じる可能性がある
WordPressと静的HTMLを共存させることにより、動的なサイトと静的なサイトが混在するため、リンクエラー等のトラブルが起こるリスクがあります。
共存させるおすすめの方法
WordPressを静的HTMLと共存させるおすすめの方法は、WordPressのページをHTMLで書き出す方法です。
この方法を実践すれば、PHPの不安定さを取り除きながら、WordPressの管理画面での設定も利用できるという、ハイブリッドな利用が可能になっています。
ただし、部分的にPHPとして機能(検索機能や予約投稿)を使用する場合には、こちらの方法はおすすめできません。
PHPやデータベースが落ちて表示されなくなった場合、HTMLのサイトだけが表示されていると、途中まで進んでエラーになるなど、サイトに対する不信感につながるおそれがあるからです。
あくまでも、HTMLサイトとして利用しても問題がない場合のみ、静的HTMLへの変換をお勧めします。
WordPressと静的HTMLを使い分ける基準は更新頻度
WordPressの利用するメリットは、更新のしやすさです。
更新頻度を上げたい場合には、静的HTMLよりWordPressがおすすめです。
たとえば、ニュースや最新情報のようなものであれば、日々更新が必要になります。
更新頻度が多ければ、毎回HTMLで内容を修正するのは、手間がかかって非効率です。
共通で使われているメニューやヘッダーなど、複数箇所を同時に修正する場合には、効率の違いが顕著にあらわれるでしょう。
WordPressのサイトであれば、ブラウザ経由で投稿・固定ページの追加や修正ができるため、作業の工数を減らせます。
一方、静的HTMLのサイトであれば、コーディング後にFTP情報を更新する必要があるため、手間も工数もかかります。
そのため、サイトの更新頻度によって、WordPressと静的HTMLを使い分けることをおすすめします。
WordPressのサイトを静的HTMLに変換する方法
WordPressのサイトを静的HTMLに変換するには、プラグインを利用するのがおすすめです。
プラグインを導入しない場合、WordPressのダッシュボードの管理画面上から記事や固定ページを更新した後、HTMLのファイルとして書き出す必要があります。
一方、プラグインを導入すれば、更新したサイトを都度HTMLに書き出してくれるため、自分でHTMLのファイルとして書き出す手間がありません。
ただし、プラグインを利用した場合であっても、「書き出し時間がかかる」「プログラムや設定の不備でデプロイが上手くいかない」など、トラブルが起こるリスクがあります。
なお、プラグインではなく、フリーソフトを利用したい方には、「HTTrack」というオープンソースのソフトがおすすめです。
HTTrackを利用すれば、サイトをダウンロードできるため、バックアップとしても利用できます。
静的HTMLを出力できるおすすめのプラグイン
静的HTMLを出力してくれるおすすめのプラグインは、「WP2Static」です。
WordPressにWP2Staticを導入すれば、固定ページや投稿ページ、画像、その他メディアファイルを静的HTMLのサイトとしてデプロイできます。
データ作成や更新のタイミングで、このプラグインを使って静的なHTMLへと変換を行い、HTMLサイトとして公開できます。
設定は事前にしておけば、ボタン一つで設定ができるため、利便性が高いプラグインです。
また、WP2Staticを導入すれば、NetlifyやAmazon S3、GitHub Pagesなどのクラウドサービスとの連帯や書き出しが可能です。
ただし、変換に時間がかかる点や、一部のファイルを正常にデプロイできない点など、WP2Staticにはデメリットがあります。
そのため、導入する際には、事前に調査しておくことをおすすめします。
まとめ
WordPressと静的HTMLの両社の違いは、主にメンテナンス性と保全性にあります。
WordPressには高機能ゆえの不安定さがあるため、PHPのエラーによりサイト全体が表示できなくなるリスクを考えれば、HTMLの安定感は魅力的と言えるでしょう。
その点、WordPressと静的HTMLの共存は、メンテナンス性と保守性の二つを同時に叶えられるハイブリッド型のサイトです。
とはいえ、WordPressのもつ拡張性を利用できないなど、静的HTMLに実現できないことも多く存在しています。
つまり、いずれの選択肢にもメリット・デメリットが存在するため、必要に応じて適切なものを選択するのが良いでしょう。
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