基礎知識 2025.05.01

WordPressで社内ポータルサイトを無料構築|基本手順を解説

この記事を書いた人

土井 純也

WordPressスペシャリスト・エンジニア/株式会社デジタルアイデンティティ Tech Div.マネージャー

WordPress専門サービス「wp.make」を立ち上げ、事業責任者として200社以上の大手上場企業のWordPressサイトの制作、保守・セキュリティをサポート。2022年にエンジニアを統括するTechnology Div.を創設。

【 展開しているサービス一覧 】
■WordPress開発サービス「wp.make
■WordPress保守/運用サービス「wp.support
■WordPressハッキング/緊急復旧対応サービス「wp.rescue
■WordPressバージョンアップ代行サービス「wp.versionup

社員の働き方をスムーズにする目的で、社内ポータルへの注目が高まっています。便利なだけでなく、自社の情報やドキュメント類、コミュニケーション窓口などの機能を一か所にまとめることで、業務効率化が期待できます。

費用を抑えて開発したい場合はWordPressで作成すれば、低コストで高品質な社内ポータルサイトを構築できます。本記事は社内ポータルサイトの基本と、WordPressで構築する基本的な手順について解説します。

社内ポータルサイトとは

社内ポータルサイトは、業務やコミュニケーションを円滑に進めるために運営されるWebサイトです。通常、社員のみがアクセスできるように設計されており、業務に関連した情報やアプリケーションを集約しています。社内ホームページや社内グループウェアとも呼ばれることがあります。社内ポータルを運用することで、社員は業務に必要な情報に迅速にアクセスできるようになります。
社内ポータルサイトとは

従来、社内ポータルサイトは社内からのアクセスに限定されていました。しかし、リモートワークの普及に伴い、社内外を問わずアクセスできるケースも増えています。

社内ポータルサイトを構築する方法としては、自社でWebサイトを開発する方法のほか、有料の社内ポータルサイトサービスを利用する方法があります。有料サービスは便利な機能が豊富で利用者も多いですが、極力コストを抑えて構築したいというニーズも根強く存在します。

社内ポータルサイトに搭載する機能

社内ポータルサイトには、以下の機能が搭載されています。

社内ポータルサイトに搭載する機能

情報共有機能

社内掲示板のように会社に関する情報を共有できる機能は、社内ポータルサイトの代表的な機能です。例えば、ビルのメンテナンス予定や社内イベントの告知など、社員に伝えたい情報をまとめることで広く周知できます。

業務資料やツールの集約機能

業務で使用するマニュアルや各種申請書、顧客管理システムなど、様々な資料やツールを一元管理できる機能は、社内ポータルサイトで主要な機能のひとつです。

資料・ツールを一か所にまとめることで、社員は必要なものをすぐに見つけられ無駄な時間を削減できます。

スケジュールの共有機能

社員、設備、備品などのスケジュールを社内ポータルサイトから登録・情報共有できる機能が搭載されていると、すぐにスケジュールを把握でき効率的に調整を行えるようになります。

例えば、電話で担当者の在籍有無を尋ねられた場合でも、社内ポータルサイトから予定を確認してスムーズに回答が可能です。会議の日程調整を行う際も、各参加者にメールや口頭で予定を確認せずに共有スケジュールを確認するだけで済みます。

コミュニケーション機能

近年搭載が増えているのがチャットやSNSなどのコミュニケーション機能です。内線電話やメールよりも気軽にメッセージを送ることができ、上手に運用できればコミュニケーションの活性化が期待できます。

なお、既に社内でチャットワークやSlackなどのビジネスチャットを導入済みであれば、社内ポータルサイトに組み込まずに別運用する方法もあります。

社内ポータルサイトをWordPress で構築するメリット

社内ポータルサイトをWordPressで構築するメリットとして、まず開発の容易さが挙げられます。無料で利用でき、プログラムの専門知識がなくても簡単に開発が可能です。また、豊富なプラグインを必要に応じて追加することで、高機能な社内ポータルサイトを低コストで構築することができます。このような特性は、コストを抑えながらも高品質なポータルサイトを求める企業のニーズに合致しています。

無料で開発できる

WordPressはオープンソースであり、CMSそのものは無料で使用できます。そのため、内製化が可能であれば、サーバー費用や人件費など、最低限のリソースで開発・運用ができます。また、制作会社に外注する場合でも、コストを抑えて開発することが可能です。

社内ポータルサイトは直接利益を生み出すものではないため、コストをかけたくないと考える経営層は少なくありません。無料のCMSで開発できることは、大きなメリットの一つです。

プログラミングの専門知識がなくても開発可能

WordPressはインターネット上に豊富な情報が公開されているため、非エンジニアでもプログラミングの専門知識がなくても、わからない点を調べながらサイト公開までたどり着くことが可能です。

社内ポータルサイトを構築する方法として、WordPressの他にGoogleサイトを使用する方法もあります。こちらも無料で専門知識不要ですが、機能が限られていたり、無料版では容量に制限があるなどのデメリットがあります。対してWordPressは容量や機能に対する制限がないため、自由度が高く社内ポータルサイトを構築できます。

プラグインで機能追加が可能

WordPressには数多くのプラグインが提供されています。必要な機能が生じた際には、適宜プラグインを追加することで実装が可能です。

WordPressで社内ポータルサイトを構築する基本的な手順

WordPressを使用して社内ポータルサイトを構築する基本的な手順を解説します。通常のコーポレートサイトとほぼ同じ手順です。

社内ポータルの目的を明確にする

まず、社内ポータルサイトを構築する目的を明確にします。このサイトを運営することで社員にどのようなメリットがあるのか、どのようなゴールを目指すのかを明確にすることで、後のステップがスムーズに進みます。

    例)

  • メールによる周知方法を廃止し、より効率的な方法に切り替えたい
  • 申請書類の保存場所や申請方法に関する問い合わせ件数を減らしたい
  • リモートワークを円滑にするためのサポート

構築後の運営体制も、このタイミングで検討しておくことが望ましいです。

必要な機能を洗い出す

社内ポータルサイトの目的が明確になったら、必要な機能や掲載コンテンツを検討します。一見便利そうな機能であっても、目的に合致しなければ無駄に終わってしまう可能性が高いです。必要な機能を漏れなく搭載することが重要です。

    例)

  • 掲示板
  • FAQ
  • ヘルプデスク機能(チャット等)

WordPressのインストールと各種設定を行う

WordPressのインストールを行います。主要レンタルサーバーでは、簡単にWordPressをインストールできるようになっているため、利用すると効率的です。例えば、エックスサーバーの場合は、レンタルサーバーの契約と同時にドメイン取得やSSL設定、WordPressのインストールまでを一気に行える「WordPressクイックスタート」が提供されています。

また、コーポレートサイト用などで既にレンタルサーバーの契約がある場合は、同一契約内で社内ポータル用のWordPressをインストールするという選択肢もあります。

WordPressを新規にインストールし、ドメインを設定した後、テーマやプラグインを追加していきます。

・社内ポータルサイトにおすすめの無料テーマ

WIING STAFF’S
(開発:WIING WebServiceCloud 合同会社)
社内ポータルサイト向けを謳ったテーマです。
軽量で閲覧制限設定が簡単にできるのが特徴。
https://wiing-wsc.com/wiing-staffs/
Lightning
(開発:株式会社ベクトル)
WordPress公式テーマで汎用性が高いのが特徴のテーマです。
有効インストール数は10万件以上あり、信頼できるテーマを選びたい企業に最適。
ブロックエディタ―にも対応しています。
https://lightning.vektor-inc.co.jp/
Cocoon
(開発:エックスサーバー株式会社+わいひら)
シンプルで汎用性が高い無料テーマです。
高速化、モバイルフレンドリーに最適化されているのが特徴。
エックスサーバーを利用している場合、自動インストール機能が使えるのですぐに運用開始できます。
https://wp-cocoon.com/

社内ポータルサイト向けのテーマだけでなく、汎用性が高いテーマを使用するとシンプルで使いやすい社内ポータルサイトが実現します。

・社内ポータルサイトにおすすめのプラグイン

User Role Editor 権限グループを作成、それぞれに権限設定できるプラグインです。
部門ごと、役職ごとにグループを設定して閲覧範囲を設定できます。
https://ja.wordpress.org/plugins/user-role-editor/
Contact Form 7 お問い合わせフォームを作成できる定番プラグインです。
社員からの問い合わせに使用するほか、社内行事の申し込みフォームなどにも活用できます。
https://ja.wordpress.org/plugins/contact-form-7/
Search & Filter 絞り込み検索機能を追加できるプラグインです。
タグやカテゴリーで絞り込むほか、フリーワードで検索することも可能です。
https://ja.wordpress.org/plugins/search-filter/
HTTP Auth Basic認証を設定できるプラグインです。
社外からアクセスする場合は、何らかの認証を設置することをおすすめします。
https://ja.wordpress.org/plugins/http-auth/

ページ閲覧制限やお問い合わせフォーム、認証、検索など、いずれも社内ポータルサイトに欠かせない機能です。これらは全てプラグインで追加できます。ただし、標準で閲覧制限や認証などの機能が搭載されているテーマもあるので、はじめにテーマを選んでから不足している機能を追加すると無駄がないでしょう。

コンテンツを作成する

ドキュメントのリンクやQ&Aなど、社内ポータルサイトに掲載するコンテンツを作成します。

社内ポータルサイトをWordPressで構築する際の注意点

社内ポータルサイトをWordPressで構築した場合、以下の点に注意すると運用がスムーズになります。

社外ユーザーをブロックする(Basic認証の設定)

社内ポータルサイトは、社員向けに限定されたサイトです。そのため、社外の人間がサイトにアクセスできないように制限を設ける必要があります。もっとも基本的な方法の一つがHTTPに標準で搭載されているBasic認証を設定することで、IDとパスワードによる認証を簡単に追加できます。

以下の記事では、Basic認証の設定方法をプラグインあり・なしに分けて解説しています。

WordPressのBasic認証の基本と設定手順【プラグインあり/なし】

安全のために強固なアクセス制限をかけたい場合は、セキュリティ対策プラグインの「SiteGuard WP Plugin」を導入する方法もあります。さまざまな設定項目が用意されており、画像認証の導入やログインページのURL変更などの対策を行うことができます。

SiteGuard WP Plugin
SiteGuard WP Plugin

https://ja.wordpress.org/plugins/siteguard/

サイトをインデックスしない

前述のように社内ポータルサイトは社員向けに限定していることから、検索エンジンにインデックスされてしまわないように設定する必要があります。

WordPressは標準では「検索エンジンがサイトをインデックスしないようにする」という設定がされています。誤ってチェックが外れていないか設定を確認しておきましょう。

サイトをインデックスしない

サイトの管理者を立てる

社内ポータルサイトを管理する担当者を事前に決めておきます。担当者が不在だと管理や更新が滞りがちになります。きちんと管理者を立てて運用業務を行うことで、「誰かが更新するだろう」と放置されるのを防ぎます。

継続的に改修を行う

WordPressサイトを運用するなかで、さまざまな改善点が見えてくる場合もあります。継続的に機能追加や不要なリンクの削除などのメンテナンス作業を行っていくことで、社員が使いやすい状態が保たれます。

セキュリティ対策をしっかり行う

社内ポータルサイトには、業務に関するドキュメントや機密情報などが数多く掲載されています。社内からのアクセスに限定する場合はもちろん、リモートワークをしている社員が職場外からアクセスする場合は、特にセキュリティ対策はしっかり行う必要があります。

本体やプラグインのアップデートを定期的に行い、常に最新の状態を保つことが必要です。
万が一情報が漏洩すると大きな問題になるため、多要素認証を追加するなど、万全の対策を行ってください。

社内周知を徹底する

社内ポータルサイトは、社員全員に継続的に使用してもらうことが重要です。そのためには、一斉メールや朝礼などを活用して確実に周知することが必要です。また、ブラウザの初期ページに設定するなどの工夫も効果的です。

さらに、社員に継続的に利用してもらうためには、定期的に情報を更新し、新しいコンテンツを追加することが欠かせません。これにより、常に最新の情報が提供され、社員の関心を引き続けることができます。

まとめ

社内ポータルサイトは、自社の情報やナレッジを集約する場として重要な役割を果たします。単なる便利なサイトではなく、業務効率化や社内コミュニケーションの活性化に役立つツールとしての活用が期待されます。

WordPressで社内ポータルを運用している成功事例を見ると、継続的な運用を前提に、専任の管理者を立ててしっかりと管理していることが多いです。本記事を参考に、社員にとって使いやすい社内ポータルサイトを構築・運用する際の指針としてください。WordPressの運用に関して不明な点があれば、制作会社に相談することも一つの手段です。

社内ポータルサイトの重要性を理解し、貴社に最適なWordPressサイト運用を目指しましょう。

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