プラグイン 2023.08.02 2023.09.09
AIが記事執筆をサポート!「Jetpack AI Assistant」の使用方法と注意点
ChatGPTをはじめとする「生成AI」の勢いは、Web制作分野にまで及んでいます。
WordPressでも公式プラグインの「Jetpack」が生成AIを導入しました。
セキュリティ設定やSNS連携などの機能を提供するこのプラグインは、2023年6月に新しい機能としてAIがWordPressのコンテンツを自動生成してくれる「Jetpack AI Assistant」のベータ版をリリースしました。
本記事では、「Jetpack AI Assistant」の機能や実際に使用してみた感想、将来の可能性などを紹介します。
目次
Jetpack AI Assistantとは?
「Jetpack AI Assistant」とは、ユーザーの指定に沿ってAIがコンテンツを自動生成してくれるWordPressプラグインです。文章を作成してくれるだけでなく、文章のトーンを変更したり、要約や翻訳も行ってくれます。
WordPressのエディタ内でブロックとして挿入できるのが特徴で、他の生成AIでテキストを生成してコピペするよりも作業の手間を減らせます。
ガイドラインによると、Jetpack AI Assistantの機能はChatGPT開発元のOpenAIの技術を利用して開発されたもの。学習されているデータは、2021年までのものとのことです。
有料版(月額1,250円)と無料版の2種類が提供され、現在、無料版では20回のリクエストまでが無料で、それ以上の使用は有料プランへのアップグレードが必要です。有料プランではリクエスト数の上限がなくなるほか優先サポートが受けられます。
公式デモでは、実際にコンテンツを生成する様子が紹介されています。英語でのコンテンツ生成はかなり高速なようです。
(出典:https://jetpack.com/blog/jetpack-12-3/)
Jetpack AI Assistantができること
「Jetpack AI Assistant」が提供する機能は、以下の5つです。
【機能①】プロンプトを入力するとコンテンツを自動生成してくれる
プロンプトとは、AIに与える指示のことです。WordPress上で「●●に関する文章を書いて」などのプロンプトを入力することで、「Jetpack AI Assistant」がブログ投稿やリスト形式のコンテンツを自動生成してくれます。
【機能②】スペルチェック&文法修正機能
文章のスペルチェックや文法の修正をしてくれる機能を備えています。
【機能③】トーン調整
ユーモア、フォーマルなど、指定したトーンに合わせて文章を修正してくれます。公式デモではトーンを変更する様子が紹介されていますが、日本語でのトーン調整はまだ難しいようです(2023年7月時点)。
【機能④】見出しの自動付与
「Jetpack AI Assistant」が文章を理解し、内容に合わせた見出しや要約を作成してくれます。
【機能⑤】翻訳
スペイン語、フランス語、中国語などをはじめ12言語で文章を翻訳してくれます。
「Jetpack AI Assistant」の使用方法
「Jetpack AI Assistant」を使用するためには、最新版「Jetpack」のインストールが必要です。まだWordPerssにJetpackが設定されていない場合は、以下の方法でプラグインをインストールしてください。
すでに最新版のJetpackが設定済みの場合は、【手順①】をスキップして「【手順②】AIアシスタントを呼び出す」へ進んでください。
【手順①】プラグインのインストール
WordPress管理画面の左メニューから「プラグイン」→「新規追加」をクリックし、キーワード欄に「jetpack」と入れて検索します。
「Jetpack ●●」という名称のプラグインがいくつも表示されますが、「Jetpack – WP セキュリティ、バックアップ、高速化、成長」という名称のプラグインを選んでください。
プラグインに表示されている「今すぐインストール」をクリックします。
次に「有効化」をクリックします。
「有効化」をクリックすると、ポップアップで登録画面が表示されます。利用規約とデータ共有に同意する場合は、[Jetpackを設定]をクリックします。
メールアドレスまたは他のアカウント(Google/Apple)を使用して、Jetpackアカウントを新規作成します。
アカウントを作成するとWordPressとの連携画面が表示されるので、「承認」をクリックします。
【手順②】AIアシスタントを呼び出す
WordPressの投稿編集画面を開き、「/AI」と入力します。ブロック選択メニューから「AIアシスタント(実験中)」を選択します。
AIアシスタントブロックに、プロンプトを入力して「送信」をクリックします。
今回はテストとして「WordPressとJoomla!の比較表を作成して」と指示しました。出力された結果は下記のとおりです。内容を受け入れる場合は「承認」を、やり直す場合は「送信」をクリックします。
Jetpack AI Assistantを使ってみた
実際にJetpack AI Assistantを使ってみます。
「あなたはインターネット関連の法律に詳しい専門家です。国内のCookie規制について、最新の動向を簡潔に教えてください。」と指示したところ、以下のような文章(416文字)が生成されました。
一見、とてもよくまとまった文章に見えます。しかし、よく見ると「改正プライバシー法」という存在しない法律が記載されています。このように、もっともらしいウソが出力されることを「ハルシネーション(Hallucination 幻覚の意味)」と呼びます。
ハルシネーションが起きる理由は、生成AIのしくみにあります。ChatGPTをはじめとする生成AIは、質問内容に対する適切な回答を見つけるのではなく、学習した膨大な情報のなかから、出現頻度が高くもっともらしい文章を生成しています。そのため、情報が正確かどうかは考慮されていない文章が出力されることになります。
Jetpack AI Assistantでも、文章を生成後に「AI生成コンテンツは不正確であるか、偏っている可能性があります」と注意喚起しています。
さらに文章を読み進めると、「ウェブサイト運営者は自己責任で最新情報にアクセスし」といった不自然な表現が見られます。
次に、「初心者が覚えておきたいExcel関数を10個、厳選して紹介してください」という指示を与えると、以下のような文章(417文字)を生成しました。
こちらもわかりやすくまとまっています。ただ、CONCATENATE関数はExcel2016以降のバージョンではCONCAT関数になっており、古い情報が出てしまっています。
また文章の最後の部分が途切れてしまっている点も気になります。何回か文章を生成してみたところ、ブロックひとつあたりの文章は500文字以内となっているようです。
「Jetpack AI Assistant」を使用する際に注意すべき3つのポイント
「Jetpack AI Assistant」は非常に便利な機能ですが、品質や日本語対応状況を考慮すると現時点では手放しで運用するのは難しそうです。
「Jetpack AI Assistant」を使用する際には、以下の点に注意することをおすすめします。
【ポイント①】内容の検証・チェックが必要
「Jetpack AI Assistant」が生成するテキストは、意味を理解して答えたものではありません。一見問題ないように見えますが、すでにあるコンテンツから出現頻度が高いものを出しているだけなので、そのままコンテンツとして使えるわけではないことに注意しましょう。ハルシネーションが起きることを前提に、正確性の問題から人間がチェック・修正することが必要です。
【ポイント②】プロンプトによって質が変わる
他の生成AIと同様、プロンプトによって生成される文章の品質が変わります。自分が望む内容に近いテキストを生成してもらうために、プロンプトの内容を工夫することが重要です。
【ポイント③】著作権に注意
開発元であるAutomatticが公開している「AIガイドライン」にも記載があるとおり、生成された文章は他者の著作権を侵害している可能性があります。そのため内容が著作権的に問題がないかどうか公開前に確認することが必要です。
参考:AUTOMATTIC社「AIガイドライン」
https://automattic.com/ai-guidelines/
まとめ:
まだ文章の正確性に課題が残るものの、「Jetpack AI Assistant」が提供する機能はコンテンツを制作するうえで非常に役立つものです。下書きとして活用する、見出し作成など一部の機能を活用するなど、使えそうな部分はどんどん使っていくことをおすすめします。
この分野の進化は速く、将来的には大きな活用可能性が期待できます。まだAIが人間の代わりに質の高いコンテンツを制作するまでには至っていませんが、AIを活用して作業の無駄を減らし、コンテンツを効率的に作成しようとする動きは加速しています。AIによるコンテンツ生成の”いま”を知る意味でも、「Jetpack AI Assistant」を試してみる価値はあるでしょう。
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