セキュリティ 2023.07.26

WordPress5.3リリース!新機能・変更点、バージョンアップは必要?

この記事を書いた人

土井 純也

WordPressスペシャリスト・エンジニア/株式会社e2e 取締役 / CTO

1985年北海道生まれ。
200社以上の大手上場企業のWordPressサイトの制作、保守・セキュリティをサポートしている。

【 展開しているサービス一覧 】
■WordPress開発サービス「wp.make
■WordPress保守/運用サービス「wp.support
■WordPressハッキング/緊急復旧対応サービス「wp.rescue
■WordPressバージョンアップ代行サービス「wp.versionup

WordPress5.3が11月12日にリリースされました。
今回のバージョンの愛称は「Kirk(カーク)」。
由来はモダンジャズのサックス奏者「ローランド・カーク」の名前から。(WordPressの各バージョンの愛称には、ジャズマンの名前が付けられています)

注目のバージョンアップの内容について、新機能や変更点、また、開発者向けの変更点のまとめ、すぐにバージョンアップした方がいいのか、などWordPress利用者なら気になるところをまとめてみました!

wordpress.orgによる発表はこちら

新しいデフォルトテーマ「Twenty Twenty」の追加

新しいデフォルトテーマ「Twenty Twenty」の追加

大きな変更点のひとつは、新しいデフォルトテーマである「Twenty Twenty」が追加されました。
開発者である、Andérs Norenの既存テーマ「Chaplin」を基に構築されており、Gutenbergの使用に焦点が当てられています。
また、「Inter」という個性的なオープンソースフォントが入っているのも特徴の一つです。

オリジナルテーマを利用されている方、Gutenbergを使用されている方は、一度試してみてもいいかもしれませんね。

WordPress5.3の新機能・変更点まとめ

WordPress5.3では、様々な機能が追加・改善されています。
それぞれを詳細に見ていくと、かなりの量になりますので、要点だけをまとめてご紹介いたします。

ブロックエディターの新機能

WordPress5.0から導入されたブロックエディター「Gutenberg」の機能が追加・改善されています。
Gutenbergにはプラグインもあり、プラグインのバージョン5.4〜6.5の追加機能(5.6を除く)、6.6〜6.7のパフォーマンス改善がWordPressのコアに適用された形です。

ブロックエディター周りの主な機能追加・変更点は以下になります。

  • グループブロックの追加
  • ブロック追加前にプレビューが表示される
  • 見出しブロックでテキスト色を変更できるように
  • ボタンの角の丸みを調整できるように
  • 列ブロックにレイアウトメニューが追加
  • カバーブロックで背景色を選択できるように
  • テーブルブロックの機能強化
  • プルクオートのデザイン変更
  • ギャラリー画像の並び替えが可能に
  • 記事状態の変更時(公開等)にスナックバー(通知)が表示されるように

プラグインを適用せずにGutenbergを利用していた方は、一気に機能が追加されるので驚くかもしれませんね。

全ての機能を詳細に書くと膨大な量になるので、詳細が気になる方は各バージョンの追加点を解説している以下のリンクを参照してみてください。(リンク先のテキストは英語です)

パフォーマンス改善

パフォーマンス改善についても、WordPress5.2からすると読み込みが1秒近く改善されています。
(KINSTA画像)
パフォーマンス改善

引用元:https://kinsta.com/blog/wordpress-5-3/

大きなサイズの画像を自動でリサイズする

スマホなどで撮影した高解像度写真のアップロードに対応するため、2560px以上の画像をアップロードした場合、自動でリサイズが行われるようになりました。
画像は、モバイルユーザビリティに関わる表示スピードにダイレクトに影響する部分ということで、追加されたのでしょう。
リサイズした画像には、拡張子の前に「-scaled」がつきます。

写真サイトなどで、高解像度画像をそのまま使いたいという場合には、「Disable “BIG Image” Threshold」のプラグインインストールして無効化することで、対応できるようです。
また、アップロード時に画像を正しい向きに自動的に回転する機能も実装されています。

管理画面・サイトヘルス等のUI改善

管理画面やエディター画面で、デザインや配色等の変更が行われています。
また、WordPress5.2から導入されたサイトヘルス機能のUIが改善されています。

いずれも大きな機能変更ではないですが、より使いやすいツールを目指しての変更ですね。

管理者のメール確認

管理者としてログインした際、一定期間(デフォルトでは6ヶ月)ログインがない場合にメールアドレスが最新であるかを確認されるようになりました。
確認の期間については、

フィルターを使用することで変更することができます。
古いメールアドレスを設定し続けていた場合、パスワードを忘れた場合の再設定のメールアドレスがわからなくなってサイトに入れなくなる、ということがないように、という意図の変更です。

開発者向けの変更・改善

日付/時刻に関するコンポーネントの改善

日付/時刻に関するコンポーネントに、新しいAPI関数が用意されています。
また、WPタイムスタンプが段階的に廃止されるとのこと。
それに伴い、これまで利用されていた以下のようなタイムスタンンプの使用は推奨されていません。

代わりに、Unixタイムスタンプや以下の新しい関数を利用するようにしましょう。

  • –この関数は、サイトのタイムゾーンを文字列として取得します。PHPタイムゾーン文字列または±HH:MMオフセットを返す場合があります。
  • –この関数は、サイトのタイムゾーンをDateTimeZoneオブジェクトとして取得します。
  • –これは、日付のローカライズのための新しい機能です。を置き換えることを目的としていdate_i18n()ます。
  • –この関数は、DateTimeImmutable設定からタイムゾーンを持つオブジェクトとして現在の時刻を取得します。
  • –ポストタイムDateTimeImmutableオブジェクトを取得します。
  • –投稿時間をUnixタイムスタンプとして取得します。

詳しくはこちら

PHP7.4への対応

開発者でない方にはピンと来ないかもしれませんが、PHP7.4をサポートしています。
現状では、まだ完全に対応できているわけではないようですが、今後のバージョンアップを通して完全にサポートすることを目指しているとのことです。

その他の追加・修正点

その他にも、開発者向けの幾つかの追加・修正点があります。
概要だけご紹介しますので、詳しくはリンク先の公式サイトでご確認ください。

アップデートはした方がいいの?

最新バージョンを利用するのが基本ですが、メジャーアップデート直後はセキュリティリスクやページの崩れ等への不安から、アップデートに慎重になる方もおられるかと思います。

今回のアップデート内容を見ると、ブロックエディターや管理画面のUI改善がメインの追加・変更点となっています。
これらは基本的にサイトの表示等にも直接は影響しませんし、セキュリティに関わる部分へのアップデートも少ないため、アップデートをしても大きな問題はないでしょう。

逆に言えば、脆弱性に対するアップデートではありませんので、緊急で絶対にやっておくべきアップデートということではありません。
様子を見たい場合は、2週間程度様子を見ても良いでしょう。

特に、日頃からブロックエディターを使っているが「Gutenbergプラグイン」を入れていなかったり、最新版にバージョンアップしていない人は、日々の作業が快適になるのでおすすめです。
また、新しいテーマ「Twenty Twenty」は、WordPress5.3に合わせた仕様になっているので、早く試してみたい方もアップデートすると良いでしょう。

WordPress5.3へのバージョンアップ方法

WordPressの管理画面にログインし、「ダッシュボード」からWordPress5.3にアップデートしましょう。
WordPress5.3へのバージョンアップ方法

子テーマを使わずにカスタマイズしている場合などで、FTPでファイルを選択してアップデートしたい場合は、下記リンクからWordPress5.3を一度ローカルに落としてからアップデートしてください。

WordPress5.3のダウンロードはこちら

まとめ

様々な機能が追加されたWordPress5.3について、紹介してきました。
今回は、ブロックエディターの機能改善に重点をおいたアップデートと言えるでしょう。

今はまだGuetenbergを触っていないという方も、公開当初よりぐっと直感的に操作できるようになっていますので、今回のアップデートを機に触ってみてはいかがでしょう。

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