基礎知識 2025.04.10

大学サイト専用CMSとWordPressを徹底比較!メリット・デメリットをプロが解説!

この記事を書いた人

土井 純也

WordPressスペシャリスト・エンジニア/株式会社デジタルアイデンティティ Tech Div.マネージャー

WordPress専門サービス「wp.make」を立ち上げ、事業責任者として200社以上の大手上場企業のWordPressサイトの制作、保守・セキュリティをサポート。2022年にエンジニアを統括するTechnology Div.を創設。

【 展開しているサービス一覧 】
■WordPress開発サービス「wp.make
■WordPress保守/運用サービス「wp.support
■WordPressハッキング/緊急復旧対応サービス「wp.rescue
■WordPressバージョンアップ代行サービス「wp.versionup

大学が自学の成果や魅力をアピールする手段として、Webサイトは重要な位置を占めています。カギとなるのがCMSの選定です。WordPressに代表される汎用性の高いCMSのほか、大学サイト構築に適した機能を搭載した大学サイト専用CMSが導入されています。リニューアルを検討する際には、どちらを選ぶべきか悩ましいところです。

本記事では、大学サイト専用CMSとWordPressのそれぞれのメリット・デメリットを比較し、大学サイトを構築する際にどちらを選ぶべきかを決めるヒントを提供します。

大学を取り巻く厳しい環境

少子化の影響で18歳人口が減少し続けており、大学志願者数も減少傾向にあります。文部科学省の集計によると、2024年度には大学入学者数が募集定員の総計を1万人以上下回りました(出典:文部科学省「令和6年度国公私立大学入学者選抜実施状況」)。大学の定員総数よりも入学を希望する学生が下回る大学全入時代が本格的に到来しています。

定員割れは深刻な収入減に陥る可能性があるため大学経営にとって大きな問題です。既に私立大学では半数以上の大学が定員割れしている状況で、学生募集を停止する大学も出てきているなど経営破綻のリスクが現実的になっています。

大学サイトに求められる3つの要件

このような厳しい環境下において、大学は教育や研究の質を向上させて競争力を維持するだけでなく、自学の成果や魅力を生徒や保護者などにアピールする必要があります。

そのため、Webサイトを活用したブランディング強化の取り組みが重要になっています。また、大学特有の問題に対処するため、効率よく運営できる体制作りも求められます。

具体的には、大学サイトには以下の要件が求められています。

ブランディングが求められている

研究成果を積極的にPRする戦略で志願者数の大幅増を実現した近畿大学の成功事例が物語るように、大学は学生に知ってもらい、選ばれるためのブランディングがますます重要になっています。

近年は若年層にアプローチしやすいSNSに注目が集まりがちですが、Webサイトは、長期的に自学の成果を提供できるブランディングツールとして引き続き重要です。最新かつ信頼性の高い情報を発信することで、他の大学との差別化を図っていく必要があります。

また、受験生、保護者をはじめとした、さまざまなステークホルダーに対して最適なコンテンツを提供し、信頼関係を築いていくことも大切です。例えば、多くの大学が公式サイトとは別に入試専用サイトを立ち上げ、受験生に対して大学のイメージや将来に対する具体的なイメージを明確に伝えられるよう工夫しています。

業務効率化が求められている

大学職員は、学生関連の各種手続き処理、職業支援、入試広報、施設管理など、幅広い業務を担当しています。近年の人手不足も加わって業務負担は増加傾向にあり、生産性の低下や離職者の増加が問題となっています。

大学のWebサイト運営には以下の特性があり、一般的な企業サイトと比較して、更新作業や運営に手間や時間がかかる傾向にあります。そのため、職員の新たな業務負担とならないよう配慮する必要があります。

  • 運営サイト数が多い(公式サイト、受験生向け特設サイト、学部・学科、研究室など)
  • 本来業務と兼任でWebサイトの更新に携わる人の数が多い
  • ステークホルダーが多い(受験生、在校生、教職員、保護者、企業、地域住人など)
  • Webの専門知識を持った職員の数が少ない

Webサイト運営業務の負担を減らすためには、CMSを導入してHTMLやCSSの知識がなくても更新できるようにすることが有効です。また、各種設定が容易でミスが起こりづらくすることも必要です。さらに、大学職員がコア業務に注力できるようにするため、業務のアウトソーシングを含めて職員の負担を軽減する工夫が求められます。

高いセキュリティが求められている

大学のWebサイトを狙ったサイバー攻撃は増加傾向にあり、近年ページ改ざんや個人情報流出などの被害が頻発しています。

(参考)サイバー攻撃の被害を受けた主な大学関連のサイト

大学名 公表日 概要
札幌市立大学 2025年3月25日 公式サイトのドメインとは別に、教員が管理する別ドメインのWebサーバーに不正アクセス被害が発生。
サイトが改ざんされオンラインカジノに関するリンクが埋め込まれた。
京都大学 2024年10月23日 学園祭向けの学生ポータル「PENGUIN」で不正アクセスされ、個人情報の意図せぬ削除被害が発生。
事務局は「データの外部流出可能性も完全には否定できない」と謝罪。
大分大学 2024年8月26日 図書館が提供する貴重書アーカイブの公開用サーバが不正アクセスを受けファイル改ざん被害が発生。
原因はPHPの脆弱性。またSEOポイズニング(検索結果を悪用した攻撃手法)によりGoogleの検索結果をクリックすると海外のWebサイトに誘導される被害も。
千葉大学 2024年06月20日 環境健康フィールド科学センターのサイト更新用ファイルが悪用され約6万件の迷惑メールを送信される被害が発生。
山形大学 2023年9月1日 研究室サイトを運営していたWebサーバーが不正アクセスされシステムが改ざんされる被害が発生。
CMSの管理体制強化、職員対象の情報セキュリティ研修実施などの再発防止策を実施すると発表。
新潟医療福祉大学 2023年4月1日 WordPressへの不正アクセスによりサイト改ざん被害が発生。
サイトを閲覧すると外部サイトへ誘導される状況に。
山形大学 2022年12月22日 研究室、公開講座など159サイトを設置しているWebサーバーが攻撃され、不正なプログラムが設置される被害が発生。
CMSの管理者ID・PWを特定され不正アクセスされたのが原因。
新潟青陵大学 2017年2月8日 WordPressの脆弱性を悪用され、サイトが英文の内容に書き換えられる被害が発生。

上記の被害例を見ると、大学公式サイトではなく、学部やセンター、教員などが運営している関連サイトで被害に遭っているケースが目立ちます。

大学では、公式サイトに加えて学部・学科サイトや内部向けの管理サイトなど、複数のサイトを運用することが多いため、サイバー攻撃のターゲットになりやすいリスクがあります。また、大学全体で適切な管理が行われておらず、教員や研究室が独自に管理している場合、セキュリティ対策が不十分なこともあります。

そのため、高いセキュリティを備えたWebサイトが求められています。

大学サイト用CMSと汎用CMS、どちらを選ぶべきか

これらの状況を受けて、大学の特定のニーズに合わせて設計された大学サイト用CMSや、大学を対象とした機能特化型のCMSが各ベンダーから提供されています。これらのCMSは、入試情報の管理、学生ポータルの運営、ユーザー権限の管理など、大学運営に必要な機能を一括して提供するのが特徴です。導入後のカスタマイズが少なく、スムーズな運用が期待できるため、多くの大学で導入されています。

一方で、大学向けに特化した機能は搭載していないものの、柔軟なカスタマイズ性や運用のしやすさから汎用CMSも人気があります。汎用CMSの代表例としてWordPressがあり、オープンソースで無料で使用できること、柔軟性と拡張性が高いことが特徴です。

大学サイト用CMSと汎用CMS、どちらを選ぶべきか

大学サイト用CMSと汎用CMSには、それぞれメリットデメリットがあります。二つの違いをより具体的にイメージするために、大学用CMSと、汎用CMSの代表であるWordPressを取り上げて比較します。

大学サイト用CMSを導入するメリット・デメリット

大学サイト用CMSは、承認フローの設定やニュースリリース設定、CMS操作ログの記録など、大学のニーズに合わせた機能が初めから搭載されていることが特徴です。大学サイトに採用する場合のメリット・デメリットを解説します。

大学サイト用CMSを導入するメリット・デメリット

メリット① 短期間でサイト構築が可能

大学サイト用CMSは、大学サイトに必要な機能が標準搭載されています。そのため、追加開発や特別なカスタマイズを行わなくても短期間でサイトを構築可能です。開発期間だけでなく、初期開発コストも抑えられます。

メリット② ベンダーのサポートが受けられる

Webサーバーの準備やサイトの初期設定に関して、多くの場合はベンダーがサポートしてくれます。また操作の困りごとやトラブル発生時の対応などがあっても、電話やメールでサポートしてくれるため短期間で問題を解消できます。

メリット③ セキュリティ対策が充実している

Webサーバーのウイルス対策や、サイバー攻撃を防止するための対策など、安全にサイトを運用するために必要なセキュリティ対策を提供しています。データのバックアップを行ってくれるケースもあり、万が一の時も安心です。

デメリット① 運用コストを抑えにくい

大学サイト用CMSは、初期費用を支払った後、月々の使用料を支払うタイプが主流です。必ず支払う金額のため、自学の努力によってコストを下げることは困難です。製品によっては、ドメイン管理費用やサーバー保守費用など追加でコストがかかる場合もあります。

デメリット② 独自カスタマイズができない場合がある

大学サイト用CMSは、あらかじめ準備されている機能を利用してサイト構築するのが前提です。そのため、自学で独自に搭載したい機能があったり個別に修正してほしい箇所があったりした場合でも、カスタマイズに対応できない場合があります。

デメリット③ ベンダー都合によるサービス終了リスクがある

可能性は低いものの、製品を提供しているベンダーが事業撤退や企業倒産などでサービスの提供を終了する場合があります。その場合は自学の状況とは関係なくCMSが利用できなくなるリスクがあります。

WordPressを導入するメリット・デメリット

WordPressはオープンソースで無料で利用できることが特徴です。大学サイトに採用する場合のメリット・デメリットを解説します。

WordPressを導入するメリット・デメリット

メリット① トータルコストを抑えやすい

大学サイトを構築する際の開発費は発生しますが、WordPressは無料で利用できるため、サーバーやドメイン取得費用を除けば導入費用はほとんどかかりません。

また運用に際して保守作業やサポート体制を内製化することで、ランニングコストを抑えることが可能です。長期的に運用することで、トータルコストを抑えられます。

メリット② プラグイン・テーマが豊富でカスタマイズが容易

WordPressでは多数のテーマやプラグインが提供されており、ニーズに合わせてさまざまな機能を簡単に追加できます。無料で利用できる高品質なプラグインも豊富で、追加で機能が必要になった際にも迅速に対応できます。

メリット③ インターネット上に情報が多い

機能の使用方法やトラブルの際の対応など、WordPressに関する情報は数多くインターネット上に掲載されています。困ったことがあっても、検索すると大抵の情報は見つけられます。

デメリット① サイト構築には開発費用・時間が必要

WordPressは、初期状態ではほとんど機能が搭載されていません。大学サイトとして求められる機能を搭載するためには制作会社に依頼して開発を行う必要があります。そのため開発の規模や複雑さに応じて費用や時間がかかります。

デメリット② メンテナンスを怠るとセキュリティリスクが高まる

WordPressはオープンソースで利用者数が多いため、プログラムによる自動攻撃や一斉攻撃の対象になりやすいです。テーマやプラグインの脆弱性を狙った攻撃も頻繁に発生しており、時には数百万のサイトが被害を受けることもあります。適切なメンテナンスを行っていれば、こうした自動攻撃や一斉攻撃を防ぐことは難しくありませんが、メンテナンスを怠るとセキュリティリスクが高まってしまいます。

デメリット③ 制作会社の選定が運用の成功・失敗を左右する

WordPressでサイトを構築する場合、制作会社に開発を依頼するのが一般的です。開発経験が少ない企業やコミュニケーションが密でない制作会社に委託すると、求めていた機能が搭載されていなかったり、想定していなかった操作が発生して作業負担が増えるトラブルが発生することがあります。

そのようなトラブルを防ぐためには、事前に大学サイトの開発実績が豊富な制作会社を見つけて依頼するのがベストです。また、問い合わせをして丁寧に対応してくれる制作会社や、自学のニーズをきちんと理解して提案してくれる制作会社を選ぶことをおすすめします。

Web制作会社がWordPressをおすすめする理由

Web制作会社の視点から結論を述べると、大学サイトの運営には、特定のニーズに合致する機能を提供している場合は専用CMSを、特別なニーズがない場合は以下の理由からWordPressをおすすめします。

  • 開発の柔軟性が高い
  • 必要な機能を容易に追加可能
  • ランニングコストがかからない

WordPressをおすすめする理由は、世界的にシェアが高く安定していることに加えて、開発の柔軟性が高い点です。社会状況の変化により追加で搭載したい機能が出てきた場合や、何らかの修正対応が必要になった場合に、スピーディに対応できます。また、他のCMSからの移行が容易で優れている点も魅力です。

さらに、ユーザーごとの権限設定や承認フローの設定、マルチサイト運用など、大学サイトに必要な機能もプラグインなどで容易に対応可能です。これらの機能が初めから搭載されている大学サイト用CMSと比較すると操作性や見栄えは劣る可能性がありますが、ランニングコストや開発の柔軟性を考慮すると許容できる範囲でしょう。

大学サイトにWordPressを導入する際の3つの注意点

大学サイトのリニューアルにWordPressを採用する際には、以下の点に注意してください。

【1】導入前に導入目的、必要な機能を確認する
制作会社に依頼する前に、現在のサイトの課題やWordPress導入の目的、サイトに必要な機能を洗い出しておくと開発がスムーズに進みます。自社で詳細まで決めるのが難しい場合は、その部分から相談にのってくれる制作会社を探すと良いでしょう。

【2】WordPressの保守はしっかりおこなう
WordPressはメンテナンス(保守)を怠るとセキュリティリスクが上昇し、また利用者が多くいることから、ハッカーによる自動攻撃や一斉攻撃の対象になりやすい特性があります。ただし、基本的な対策をきちんと行うことで大半のセキュリティリスクを回避できます。

WordPressを導入する際には、このような特性を踏まえた上で、自動バックアップや定期的なバージョンアップ、最新の脆弱性情報への対応などの基本的なセキュリティ対策を行う必要があります。担当する人材がいない場合は、WordPress保守サービスの利用を検討することも一つの方法です。

【3】個人情報はWordPress内に残さない
万が一、ハッキングされた場合の対策として、氏名やメールアドレスなどの個人情報はWordPress内には残さないようにしましょう。Webサーバーの不正アクセスから個人情報が漏洩する被害が数多く発生しており、受験者や学生の情報はWebサーバーとは別のシステムで管理することが推奨されます。これにより、個人情報の漏洩リスクを最小限に抑えることができます。

まとめ

大学のWebサイトは、受験生、在学生、保護者、地域住民、企業など、さまざまなステークホルダーが訪れる重要なタッチポイントです。適切な情報発信を行いながら大学の魅力を効果的に伝えることで、競争力を高め、他の大学との差別化を図ることができます。

WordPressは、多くの大学で採用されている実績があり、カスタマイズの柔軟性も高いため、大学サイトに最適なCMSです。実績豊富なWeb制作会社とパートナーシップを結び、積極的にサイトを活用することで、多くの学生から支持され、選ばれる大学となるでしょう。

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