基礎知識 2025.08.01 2025.08.02
LLMOとは?WordPressで生成AIに最適化する方法を基礎から解説
ChatGPTなどの生成AIが回答を生成する際に、引用元として選ばれるように最適化する手法がLLMO(Large Language Model Optimization)です。検索エンジンの利用が減少傾向にある中で、Webサイトが新たなユーザーを獲得する手段として注目されています。本記事では、LLMOの基本概念やSEOとの違い、LLMO対策の方法について解説します。
LLMO(Large Language Model Optimization)とは
LLMO(Large Language Model Optimization/大規模言語モデル最適化)は、LLMを使用するChatGPTやGeminiなどの生成AIがWeb上の情報を引用・参照して回答する際に、自社サイトのコンテンツが引用元として取り上げられるように最適化する施策です。
生成AIが回答を生成する際に、信頼できるソースだと判断されるように影響を与えることがゴールです。生成AIで表示されることで、自社サイトへの流入が見込めるほか、引用元としてユーザーの目に触れる機会が増えることで、認知拡大やブランディング強化に繋がります。
なお、LLM(大規模言語モデル)は、膨大なデータ学習により高度な自然言語処理が可能なAIモデルのことです。生成AIの一部であり厳密には同じではありませんが、文脈によっては「LLM=生成AI」として扱われるケースもあります。
LLMOが注目されている理由
いまLLMOが注目されている理由は、以下の二つが挙げられます。
- 検索エンジンでリンクをクリックしない(=ゼロクリックサーチ)ユーザーの増加
- 情報を見つける手段として生成AIを使う人が増えてきた
検索エンジンでリンクをクリックしない(=ゼロクリックサーチ)ユーザーの増加
かつて検索エンジンは、ユーザーが入力した検索キーワードに合致するWebサイトのリンクを一覧で表示し、ユーザーがその中からクリックして情報を得るのが主流でした。
しかし近年では、キーワードに対する直接的な回答が検索結果ページの最上部に表示されるようになっています。そのためユーザーは示された情報で満足してリンクをクリックしない「ゼロクリックサーチ(Zero-Click Search)」の傾向が強まっています。
さらに、Googleなどの検索エンジンではキーワードに対してAIが生成した要約や回答が表示される「AI Overviews(AIによる概要)」と呼ばれる機能が登場したことにより、ユーザーのクリック行動はさらに減少しています。
情報を見つける手段として生成AIを使う人が増えてきた
2000年代はじめに日本でも「ググる」という言葉が使われ出したように、長い間インターネットで情報を探す行為はGoogle検索をすることとほぼ同義でした。そのため、Webサイト運営者の関心は「いかにGoogleの検索結果で上位に表示されるか」に集まっていました。
しかし、ChatGPTが登場したことで状況は一変します。若年層を中心に検索エンジンで調べるよりも、生成AIで調べることが当たり前になってきました。2025年7月にLINEヤフーが公表した調査結果によると、生成AIを利用している人の6割強が「検索や調べもの」に活用していると答えています。
(参照)生成AIの認知度は9割強!全体の利用率は3割強、10代で最も高く6割弱(LINEリサーチ)https://lineresearch-platform.blog.jp/archives/47214040.html
今後生成AIを利用する人はさらに増えることが予想されることから、情報収集に生成AIを利用する流れはさらに拡大すると考えられます。これは検索エンジンの利用が減少し、従来のSEOだけでは自社サイトへのアクセスを維持できなくなることを意味します。
これら二つの理由から、検索エンジンに変わる流入元として生成AIの重要性が高まり、LLMO(Large Language Model Optimization)が注目されるようになっています。
SEOとの違い
SEOとLLMOとは、取り組む目的が異なります。従来のSEOでは、検索エンジンに評価されて検索結果ページの上位に表示されることを目的としていたのに対し、LLMOでは、生成AIに引用されて引用元として表示されることを目的としています。
それぞれ目的は異なりますが、構造化マークアップやE-E-A-Tを意識した質の高いコンテンツ作成など、取るべき施策に共通点は多くあります。生成AIの回答に引用されることで自社サイトへのトラフィックが増加することを期待するという点では、LLMOはSEOの延長にあります。
項目 | SEO(検索エンジン最適化) | LLMO(大規模言語モデル最適化) |
---|---|---|
対象 | Google、Bingなどの検索エンジン | ChatGPT、Gemini、Claudeなどの生成AI/AI Overviews |
目的 | 検索結果で上位表示されること | AIの回答に引用されること |
流入経路 | 検索結果から | AIの引用元から |
最適化の軸 | キーワード、被リンク、モバイル対応など | 構造化、E-E-A-Tなど |
成果の測定 | 検索順位、CTR、流入数 | AIによる引用の有無、AI経由のアクセス |
LLMO対策を行う4つの方法
LLMO対策の基本は、「AIが理解しやすく、引用しやすいコンテンツ」を作ることです。基本のSEO対策に加えて以下のポイントを意識したコンテンツ作成が求められます。
【対策1】構造化データを実装する
構造化データは、Webページの情報を検索エンジンが正確に認識できるように記述したものです。”@context”や”@type”を使用してHTMLにメタデータを付与することで、プログラムが内容を理解できるようになります。
構造化データを実装することは、検索エンジンだけでなく生成AIにとっても内容を理解するのに役立ちます。
Googleでは、Webページの構造化データ作成を支援する「構造化データマークアップツール」を提供しています。このツールを利用するとHTMLなどの知識が少ない人でも標準仕様のJSON-LD形式で構造化データを出力できます。
(参考)Google:構造化データマークアップツールの使用方法
https://support.google.com/webmasters/answer/3069489
WordPressに構造化データを追加する方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
(参考)コピペOK!WordPressに構造化データを追加する方法を解説
【対策2】AIフレンドリーな文章構造にする
LLMO対策として、AIが情報を抽出しやすい構造を意識した文章を作成することがとても重要です。一文一義(一つの文章にはひとつの情報だけを書くこと)を基本にシンプルな文章を作成することで、AIフレンドリーであり、人間にとっても読みやすい文章になります。
また、内容を推測しやすい見出しや文章表現は、AIが文章の内容を理解しやすく、LLMO対策として効果があると言われています。ライティング時には以下を考慮すると効果的です。
- FAQを作成する
- 箇条書きなどを使用して理解しやすい文章にする
- 見出しタグを使用して、内容を明確に表すタイトルをつける
- 論理的に整理された文章を心がける
【対策3】「E-E-A-T」を強化する
「E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)」は、Googleが提唱するコンテンツの品質評価基準です。Webサイトを訪問したユーザーが、表示されたコンテンツを見て信頼性や専門性といった要素を感じるかどうかを評価するもので、生成AIの回答にも影響を与えると言われています。
例えば、あるトピックにおいて信頼性があり、有益な情報を掲載しているWebサイトは高いE-E-A-Tを有しています。E-E-A-Tを高めるためには、コンテンツ内に以下のような内容を盛り込むことが推奨されています。
Experience (経験) |
該当のトピックについて、実際の経験に基づいた情報を記述する/クチコミ・レビューなどの生の声を掲載する |
---|---|
Expertise (専門性) |
著者情報を明記する/その分野に関する知識・スキルを保有していることを明確にする |
Authoritativeness (権威性) |
信頼できる被リンクを獲得する/良い評判を獲得する(サイテーション)/サイト運営者情報を記載する |
Trustworthiness (信頼性) |
情報を定期的にアップデートする/SSL対応する |
【対策4】llms.txtを設置する(現状、必須ではない)
llms.txtは、Webサイトの情報をAIに伝えるためのファイルです。マークダウン形式で記述します。SEOにおけるrobot.txtのような位置づけのファイルであることから、「主要なLLMO対策=llms.txtを設置する」と捉えられ、llms.txtを重要視する傾向があります。
しかし、具体的にはllms.txtは標準化されていません。Googleのジョン・ミューラー氏も「現在AIサービスは対応していない」と発言しており、現時点では効果は限定的で重要度は高くないと考えられます。
現時点でのllms.txtの導入は、今後、llms.txtが普及し、各生成AIにサポートされた時のために準備しておく、という意味はありますが、llms.txtがサポートされなければ無駄になってしまいますので注意が必要です。
LLMO対策の効果を測定する方法
LLMO対策の効果は、SEOにおける検索順位のような測定指標はありません。そのため、代替として以下を計測することでLLMO対策の効果を測定できます。
【方法1】アクセス解析ツールでAI経由のアクセスを計測する
GA4などのアクセス解析ツールで、セッションの参照元に「chatgpt.com / referral」や「gemini.google.com / referral」などが含まれていないかを確認します。これにより、AI経由の流入をある程度把握できます。
【方法2】自分で生成AIに質問してみる
測定したいキーワードを選定し、ChatGPTやGeminiに関連する質問を投げます。回答の中に自サイトの情報が含まれていれば、LLMO対策が効果を発揮している可能性が高いです。
wp.geek編集部 解説
これまでのSEOでは「人間にとって読みやすく、役立つコンテンツ」が最重要とされてきました。これは今も変わりませんが、今後は「AIにとっても理解しやすく、引用しやすいコンテンツ」であることが、さらに重要になっていきます。生成AIが新たな認知・流入の経路になることで、自社サイトの強化に繋がるためです。
ただし、トレンドを意識するあまりLLMOのテクニックに踊らされないようにする必要があります。「LLMOが注目されているから自社でも対策しよう」と安易に取り組んでも、肝となるコンテンツが高品質でないと効果は期待できません。「ユーザーにとって親切で役に立つ情報を提供すること」を意識したコンテンツ作りが大事なのはSEOと同じです。
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