2022.06.07基礎知識
【完全版】WordPressをバージョンアップする方法
WordPressのバージョンアップを行いたいものの、適切な方法が分からず、放置してしまっている方は多いのではないでしょうか。また、WordPressのバージョンアップを行わない方の中には、バージョンアップによって発生する不具合を懸念している方もいるでしょう。
しかし、WordPressはバージョンアップを行うことでより便利になるだけでなく、脆弱性の修正によりセキュリティ面が強化されるため、必ず実施すべきです。また、表示速度改善の効果が得られることもあり、SEO対策の観点から見ても、WordPressのバージョンアップは有効です。
そこで本記事では、WordPressのバージョンアップを行う具体的な方法や、不具合が起きたときの対処法について解説します。
WordPressのバージョンアップを行う場合は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
WordPressはバージョンアップしたほうが良いのか
大前提として、WordPressのバージョンアップを行うことは強く推奨されます。
適宜WordPressをバージョンアップすることで、機能追加や機能改善だけでなく不具合や脆弱性の修正が行われるため、運用面やセキュリティ面でのリスクを最小限に抑えられます。
ただし、WordPressのテーマやバージョン、使用しているプラグインによっては、バージョンアップを行うことにより、現在使用している機能が使えなくなったり、レイアウト崩れなどの不具合が生じる可能性があります。
そのため、初心者の場合はバージョンアップを実施する前に、インターネット検索等を活用して、バージョンアップしたユーザーの情報収集を行うべきです。
自分のWordPressサイトと同じテーマやプラグインを使っているユーザーが、バージョンアップ後も不具合なく利用できていることを確認してからバージョンアップすることを推奨します。
WordPressのバージョンアップは2種類存在する
WordPressには、2種類のバージョンアップが存在しており、それぞれ目的が異なります。2種類のバージョンアップは下記の通りです。
- メジャーバージョンアップ
- マイナーバージョンアップ
それぞれ順番に解説します。
メジャーバージョンアップ
メジャーバージョンアップとは、約3ヶ月に1度のスパンで行われる、大きな修正や改善、機能追加が行われるバージョンアップのことです。
メジャーバージョンアップの場合は、「WordPress 5.8.4→WordPress 5.9」のように数字が変わります。たとえば、バージョンを「x.y.z」とした場合は、xもしくはyが変更されるということです。
基本的にメジャーバージョンアップはWordPress側で自動的に行われるわけではなく、ユーザーが自らバージョンアップを実行する必要があります。
WordPress全体に大きな変化が起こる分、テーマやプラグインによっては不具合やデザインの変更が起きやすいため、バージョンアップを行う前には情報収集を行った上で慎重に行うことが大切です。
バージョンアップによる不具合の報告が見当たらなければ、後述するWordPressのバージョンアップ方法に即してバージョンアップを行いましょう。
マイナーバージョンアップ
マイナーバージョンアップとは、1ヶ月に1回程度のスパンで行われる、不具合の修正や小規模な機能の追加を中心に行うためのバージョンアップのことです。
マイナーバージョンアップを行った場合、「WordPress 5.8.3→WordPress 5.8.4」のように、末尾の数字が変わります。
マイナーバージョンアップはメジャーバージョンアップとは異なり、原則としてWordPress側が自動的にバージョンアップを行います。そのため、(自動バージョンアップが有効である場合、)基本的に自分側では何もする必要はありません。
マイナーバージョンアップでも、使っているWordPressテーマやプラグインによっては不具合が起きることがあります。バージョンアップ後に困らないためにも、こまめにバックアップを取っておくことを推奨します。
マイナーバージョンアップが自動的に行われた場合、WordPressに登録しているメールアドレス宛に通知が届きます。マイナーバージョンアップが行われた後は、一度サイトの状況を確認すると良いでしょう。
また、WordPressに登録しているメールアドレスは、管理画面のサイドバーにある「設定」の中の「一般」から確認可能です。
WordPressのバージョンアップ有無はどこで確認をするか
WordPressのバージョンアップ情報は、WordPressの管理画面から確認できます。
管理画面のサイドバーにある「更新」に赤いバッジが付くとともに、「WordPress5.9.3が利用可能です!今すぐ更新してください。」という通知が表示されます。
また、WordPressの更新スケジュールは、WordPressの公式サイトからも確認可能です。
更新スケジュールは下記で確認できるため、更新スケジュールを把握しておきたい場合は随時確認すると良いでしょう。
WordPressのバージョンアップ方法
ここからは、具体的なWordPressのバージョンアップの方法について解説します。WordPressのバージョンアップは下記の手順で行います。
- PHPのバージョンアップを確認
- WordPressのバックアップを取る
- プラグインを一時的に無効化する
- プラグインの更新を行う
- WordPressのバージョンアップを行う
- 無効にしたプラグインを有効化する
- デザイン崩れ等がないか確認する
それぞれ順番に解説します。
PHPのバージョンアップを確認
WordPressは、PHPと呼ばれるプログラミング言語によって構築されています。そして、PHPにもバージョンが存在します。
WordPressを常に最新のバージョンに保ったとしても、PHPのバージョンが古ければ、正常に機能を利用できなかったり、動作が重くなったりするため、PHPのバージョンも新しいものにしておきましょう。
PHPのバージョンが適切かどうかは、管理画面のサイドバーの「ツール」から「サイトヘルス」を開くことで確認できます。
「サイトが PHP の古いバージョンを実行しており、更新をおすすめします」と記載されている場合は、PHPのバージョンアップを行いましょう。
更新バージョンがリリースされていないプラグインに注意
WordPressのバージョンと同様に、PHPのバージョンアップを行うことによって、プラグインの不具合が起こるケースもあります。特に、更新日時が古いプラグインは不具合が起こりやすいです。
PHPのバージョンアップを行った後、プラグインの不具合が確認された場合は、下記の手順で対応しましょう。
- 一度、PHPをバージョンアップ前の状態に戻す
- 原因となっているプラグインを無効化する
- その後、再度PHPのバージョンアップを行う
今まで使っているプラグインが最新のPHPに対応していない場合は、長い間更新がリリースされておらず、脆弱性が放置されている可能性が考えられます。そのため、最新のPHPに対応している、同じ機能を持っている別のプラグインを探すことを推奨します。
WordPressのバックアップを取る
先述した通り、WordPressのバージョンアップによって不具合が生じることがあります。
不具合が起きたときにバージョンを戻すためにも、WordPressのバージョンアップ前にバックアップを取っておきましょう。
バックアップを行う方法は多様ですが、どのような手段でも問題ありません。プラグインを用いる手法が最も簡単なのでおすすめです。
数あるバックアッププラグインの中でも、「BackWPup」は利用ユーザーが多い上に、自動バックアップ機能なども備わっているため、非常に使いやすいです。
バックアップの手法に迷っている方や、バックアップ用のプラグインを探している方は、「BackWPup」を使うと良いでしょう。
なお、BackWPupの使い方に関しては下記の記事で解説していますので、本記事と併せてご覧ください。
プラグインを一時的に無効化する
WordPressのバージョンアップを行う前に、利用しているプラグインを無効化しましょう。なぜなら、プラグインを有効化したままWordPressの更新後に不具合があった場合、どのプラグインが不具合を引き起こしているか判別が難しくなるからです。
ただし、エラーログを参照するなどして不具合原因の特定ができる方の場合、このような手順を踏まなくても、エラーの原因となっているプラグインを突き止められるでしょう。更新後に問題があるプラグインがあれば無効化および不具合に対する対応を実施するという流れで問題ありません。
WordPressの管理画面のサイドバーから、「プラグイン」を選択し、「インストール済みプラグイン」を開くことで、プラグインの無効化が行えます。
注意点として、プラグインの無効化によってレイアウトの崩れやフォームやランキング、その他投稿機能の操作といった多数の機能が停止する可能性が高いです。プラグインの無効化を行う場合は、これらの機能が停止する可能性があることを念頭に置いた上で行いましょう。
プラグインの更新を行う
プラグインの無効化を行うと同時に、プラグインの更新も行いましょう。
プラグインの更新は、WordPressのバージョンアップと同様に、管理画面の「更新」からや、先述した「インストール済みのプラグイン」から行えます。
WordPress本体やテーマの更新、プラグインの更新は同時に行えないので、それぞれ個別に行いましょう。
テーマの更新を行う
プラグインの更新と無効化が完了したら、テーマの更新を行いましょう。
テーマの更新はプラグインの更新と同様に、管理画面の「更新」から行えます。テーマはサイト全体のデザインや機能を支える重要な要素であるため、レイアウト崩れや各種機能停止などの不具合が起きた場合は、サイトの運営に深刻な損失を与える恐れがあります。
そのため、テーマの更新はこまめに行い、常に安全な状態でサイト運営を心がけましょう。
WordPressのバージョンアップを行う
プラグインやテーマの準備が整ったら、実際にWordPress本体のバージョンアップを行いましょう。
ダッシュボードのサイドバーにある「更新」をクリックし、青いボタンで表示されている「今すぐ更新」をクリックすることで、WordPressのバージョンアップが始まります。
無効にしたプラグインを有効化する
WordPress本体のバージョンアップが完了したら、無効にしていたプラグインを有効化しましょう。
手間はかかるものの、一つずつプラグインを有効化し、サイトにエラーや不具合が起きていないかを確認することで、新バージョンに対応していないプラグインを発見しやすくなります。
もし、新バージョンに対応していないプラグインが見つかった場合は、そのプラグインの使用を控えるとともに、別の似た機能を持つプラグインを用いることを強く推奨します。
デザイン崩れ等がないか確認する
プラグインもすべて有効化し終えたら、サイトのデザイン崩れなどが起きていないかを確認しましょう。
プラグインに問題がない場合は、テーマに問題があるケースが考えられます。他のユーザーの意見や、テーマの開発元の情報を収集しつつ、修復が困難である場合は、バックアップを用いてWordPress・プラグインのダウングレードを行いましょう。
WordPressのバージョンアップが反映されない理由
WordPressをバージョンアップしたものの、デザインや機能が反映されていなかったり、挙動がおかしかったりすることがあります。
その原因の1つとして、ブラウザが一時的に保存しているキャッシュデータがあります。特に、ブロックエディタではキャッシュデータの影響を受けやすいため、バージョンアップ後にブロックエディタで不具合が見られた場合には必ず確認しましょう。
キャッシュデータによって不具合が起きている場合は、ブラウザの「シークレットウィンドウ」もしくは「プライベートブラウジング」という機能でWebページを確認することを推奨します。
これらの機能を使用すると、キャッシュデータに依存しないページ閲覧が可能となり、アップデートが反映をすぐに確認できます。
また、スーパーリロードを行うことも手段の1つです。スーパーリロードとは、キャッシュデータを用いることなく、強制的に再読み込みを実行することです。
なお、スーパーリロードの方法はOSやブラウザによって異なります。それぞれのOS・ブラウザでのスーパーリロードの方法は下記の通りです。
Chrome
- Windows:「Ctrl」+「F5」
- Mac:「Command」+「Shift」+「R」
firefox
- Windows:「Ctrl」+「F5」
- Mac:「Command」+「Shift」+「R」
よくあるWordPressバージョンアップの失敗
WordPressをバージョンアップすることで、WordPressの機能の一部に不具合が生じたり、WordPressが使えなくなったりすることがあります。
よくあるWordPressの失敗例は下記の通りです。
- メンテナンス中と表示される
- 画面に「このサイトで重大なエラーが発生しました」と表示される
- エラー表示が起こる
それぞれの内容と対処法について解説します。
メンテナンス中と表示される
WordPressは、更新時にメンテナンスモードという状態に入ります。メンテナンスモードは、一時的にサイトに入れなくなる機能です。
基本的には、更新が完了すると自動的にメンテナンスモードが解除されるものの、更新中に管理画面の操作を行うことによって、メンテナンスモードが解除されないことがあります。
この場合も、10分程度待てばメンテナンスモードが解除されることがほとんどであるため、焦らずに待機しましょう。
なお、10分以上待ってもメンテナンスモードが解除されない場合、ファイルマネージャーやFTPソフトを開いて、「.maintenance」ファイルを削除することで解除できます。
画面に「このサイトで重大なエラーが発生しました」と表示される
サイトや管理画面を開こうとしても「このサイトで重大なエラーが発生しました」と表示される場合は、バージョンアップの失敗や不具合が疑われます。
本来は、エラーが起きている箇所を究明して適切な対応を行う必要があるものの、WordPressやPHPへの豊富な知識が必要になります。
非エンジニアの方や、WordPressやPHPに対する知見がない方がこのようなエラーに見舞われた場合、事前に取っておいたバックアップデータを用いてバージョンアップ前の元の状態に戻すことをおすすめします。
なお、バックアップデータで復旧を行う手順は下記の通りです。
- バックアップファイルをダウンロードする。zipファイルとなっている場合は解凍する
- FTPソフトを用いて、レンタルサーバーにログインする
- 「.sql」ファイルを除いたすべてのファイルとフォルダを、WordPressをインストールしたディレクトリに加える。ファイルやフォルダの上書きを確認された場合は、上書きを行う
加えて、データベースの復元方法は下記の通りです。
- phpMyAdminに接続する。なお、phpMyAdminへの接続方法は、それぞれのレンタルサーバーによって異なる
- 対象のデータベースを削除する
- ログインが完了したら、対象のデータベース名から「インポート」をクリックし、ファイルを選択する
- 上述にあった対象の「.sql」ファイルをアップロードする
上記の手順が完了したら、再度サイトや管理画面を開いてみて、正常に動作しているかを確認しましょう。
エラー表示が起こる
バージョンアップ後に、サイトの外観や管理画面でエラー表示が起こることがあります。
エラー表示の原因の1つとして、プラグインやテーマがバージョンアップ後の最新版WordPressに対応していないことが挙げられます。
基本的には、プラグインやテーマの提供元が、最新版のWordPressに対応するように早急に修正を行うため、放っておいても改善するケースがほとんどです。
ただし、すぐにサイトの復旧を行う必要がある場合、プラグインの停止やWordPressテーマの変更を行いましょう。プラグインやテーマが原因の場合、最新版WordPressに対応したプラグインのみを有効化し、対応したテーマを用いることでエラーが改善されます。
プラグインやテーマの更新情報を確認し、最新版へ対応したことを確認してから、再度既存の状態に戻すと良いでしょう。
WordPressは自動更新も可能
WordPressでは、メジャーバージョンアップを含むすべての更新を自動的に行うように設定できます。WordPressの自動更新の設定方法は、大きく分けて下記の2つです。
- プラグインを使用
- function.phpへのコード追加
それぞれの手順は下記の通りです。
プラグインを使用
- プラグイン「Advanced Automatic Updates」をインストール
- 「インストール済みプラグイン」から、「アドバンスド自動更新」を有効化
- 「アドバンスド自動更新」を有効化することで、設定画面に飛ぶため、そこで「メジャーバージョン」にチェックを入れる
また、function.phpへのコード追加
- WordPressのダッシュボードサイドバーから、
- functions.php内に、下記のコードを追加する
- add_filter( ‘allow_major_auto_core_updates’, ‘__return_true’ );
- add_filter( ‘allow_minor_auto_core_updates’, ‘__return_true’ );
- add_filter( ‘auto_update_theme’, ‘__return_true’ );
- add_filter( ‘auto_update_plugin’, ‘__return_true’ );
上記の方法を行うことで、メジャーバージョンの自動更新も可能となります。ただし先述した通り、メジャーバージョンの更新によってサイトに不具合が見られるケースも多いため、更新の自動化は慎重に行いましょう。
まとめ
本記事では、WordPressのバージョンアップを行う方法や、バージョンアップ時の注意点、不具合が起きたときの対処法について解説しました。
WordPressはバージョンアップを重ねることで、より便利になるとともに、セキュリティ面も強化されていきます。そのため、新しいバージョンがリリースされている場合は積極的にバージョンアップを行いましょう。
ただし、バージョンアップによって不具合が起きることも珍しくないため、必ず実際にバージョンアップを行ったユーザーの声をリサーチすることが大切です。
同時に、不具合が生じた場合は、本記事で解説したような適切な対処法を速やかに取ることを推奨します。