基礎知識 2025.10.15 2025.10.18
WordPress管理画面が遅い原因と6つの改善策
WordPressを継続的に運用していると、管理画面の動作が遅く感じられることがあります。こうした状況を放置すると、投稿の編集や設定変更に時間がかかり、業務効率の低下を招くだけでなく、日々の作業にストレスを感じる要因にもなりかねません。特に企業で複数人がWordPressを利用している場合、管理画面のパフォーマンスは運用全体の生産性に直結する重要な要素です。
そこで本記事では、WordPressの管理画面が重くなる主な原因を整理したうえで、具体的な調査方法と、すぐに取り組める6つの改善策をご紹介します。
管理画面が重くなる主な原因
WordPressの管理画面が重くなる原因は、一つの要素に限定されるものではなく、複数の要因が複雑に絡み合っている場合が数多くあります。それらを分解すると、主に「サーバー環境」「ブラウザの状態」「WordPress本体やプラグインの構成」といった三つの領域に問題が生じることで、管理画面の表示や操作に遅延が発生します。
【原因1】インストールしているプラグイン・テーマが多すぎる
WordPressサイトでは、必要に応じて適宜プラグインを導入します。
本ブログを運営する「wp.make」で制作を行っているWordPressでは、約10〜20個程度のプラグインをインストールしています。また、弊社以外で制作されたWordPressサイトの場合、30個以上のプラグインが稼働しているケースもあります。
しかしプラグインの数が増えるほど、管理画面の読み込み時に各プラグインのスクリプトやスタイルが個別に読み込まれて処理が重くなりやすくなります。特にセキュリティ系や統計系のプラグインは、サーバーとの通信やデータ処理が頻繁に発生するため、管理画面のパフォーマンスに影響を与える傾向があります。
また、更新が止まっているプラグインや、WordPressのバージョンと互換性のないプラグインを使用している場合は、動作の不安定さや速度低下の原因となることがあります。
テーマについても同様で、複数のテーマをインストールしていると、不要なファイルや設定が管理画面の動作に影響を及ぼす可能性があります。
【原因2】不要なファイルが増えてデータベースが肥大化している
WordPressでは、投稿やコメント、各種設定情報、ログなど、サイト運営に関わるあらゆるデータがデータベースに保存されます。初期設定のまま運用を続けていると次第に不要な情報が増えていき、管理画面の応答速度に影響を及ぼすようになります。
中でも代表的なのが、編集履歴を保存するリビジョン機能です。記事のタイトルや本文を変更するたびに自動保存される仕組みで、過去の状態に復元する際に使用されます。しかし長期的に運用しているとリビジョンの数が膨大になり、データベースの肥大化を招きます。
結果として、クエリ処理に時間がかかるようになり、管理画面の表示や操作に遅延が発生する原因となります。
【原因3】サーバーリソースが不足している
WordPressの管理画面が重くなる原因の一つに、サーバーリソースの不足があります。特にレンタルサーバーで複数のユーザーが同じ環境を共有している場合は、CPUやメモリなどのリソースが限られており、負荷が集中すると処理速度に影響が出やすくなります。
同時アクセスが増える時間帯や、バックグラウンドで自動処理が実行されているタイミングでは、管理画面の応答が著しく低下することもあります。
【原因4】WordPressやプラグインのバージョンが低い
古いWordPress本体やプラグインを使い続けていると、最新のPHPやMySQL(MariaDB)との互換性が失われ、処理速度が低下することがあります。またバグが含まれている場合も管理画面の速度に影響を与えることがあります。
アップデートには、セキュリティの強化だけでなく、処理速度の向上や不具合の修正といったメリットがあります。特に、古いバージョンのPHPを使用している場合は、処理効率が低下し、管理画面の動作に影響を及ぼす可能性があります。
【原因5】ブラウザの拡張機能を整理する
ブラウザに多数の拡張機能をインストールしている場合、それがWordPress管理画面の動作を重くする一因になることがあります。特に、ページ内容を解析したり、広告をブロックしたりするタイプの拡張機能は、管理画面内のJavaScriptやAjax通信に干渉し、読み込みが遅延するケースが少なくありません。
拡張機能の中には、常にバックグラウンドで動作してページごとにデータを取得するものもあります。これらがWordPressの管理画面と同時に動作すると、CPUやメモリの使用量が増加し、結果としてページ遷移やエディターの動作がもたつくことがあります。特にChromeなどのメモリ消費が多いブラウザでは、その影響が顕著に現れます。
【原因6】Heartbeat APIの頻度が高い
WordPressでは、管理画面の操作性を保つために「Heartbeat API」と呼ばれる仕組みが導入されています。これは一定間隔で管理画面がサーバーと通信を行い、投稿の自動保存やログイン状態の維持などを実現するものです。しかし、この通信頻度が高すぎる場合、サーバーに継続的な負荷がかかり、結果として管理画面の動作が遅くなることがあります。
管理画面が遅いかどうかを調べる方法
WordPressの管理画面が「なんとなく重い」と感じた場合でも、感覚だけで判断するのではなく、具体的な数値や挙動をもとに検証することが重要です。実際の遅延が発生しているかどうかを確認するには、ブラウザの開発者ツールを活用してリクエストの処理時間を測定したり、「Query Monitor」などの診断プラグインを使用する方法が有効です。
開発者ツールを使用して管理画面が重くなる原因を特定する
Google ChromeやFirefoxなどのブラウザには「開発者ツール」が搭載されています。これを活用することで、通信状況や読み込み時間を可視化することが可能です。
【Google Chrome】開発者ツールから確認する方法
Google ChromeからWordPressの管理画面を開きます。キーボードの「F12」キーを押すか、右クリックメニューから「検証」を選択することで開発者ツールが起動します(Macでは「Command」+「Option」+「I」キーを使用します)。画面上部の「Network」タブを選択すると、ページ内で実行された通信履歴が一覧で表示されます。
この状態で「Disable cache(キャッシュの無効化)」にチェックが入っていることを確認し、キーボードの「F5」キーでページを再読み込みして全てのリクエストをリアルタイムで表示します。
「Time」列をクリックすることで、読み込み時間の長い順に並べ替えることができ、どのファイルやAPI呼び出しがボトルネックになっているかを確認できます。
「Name」列に表示されるURLに「plugin」や「admin-menu-editor」などのプラグイン名が含まれている場合は、該当プラグインが原因である可能性が高くなります。また、「heartbeat」という文字列が含まれている場合は、WordPressのHeartbeat APIによる通信が影響している可能性があります。
「Query Monitor」を使用してプラグインの問題をチェックする
「Query Monitor」は、WordPressのパフォーマンス診断に特化したプラグインです。データベースの状況や読み込まれているプラグインやテーマの挙動など、デバッグ情報をリアルタイムで確認できます。
「Query Monitor」
https://ja.wordpress.org/plugins/query-monitor/
管理画面を軽くするために実施すべき6つの対策
WordPressの管理画面が重くなると、日々の作業効率に大きな影響を及ぼします。原因を特定した後は、適切な改善策を講じることが重要です。ここでは、実際に効果が高いとされる6つの対処法をご紹介します。
【対策1】不要なプラグインを整理する
使用していないプラグインは定期的に整理し、必要最小限の構成で運用することが、安定した管理画面の維持につながります。特に外部APIと連携するプラグインや、長期間更新されていないプラグインは、サーバーへの負荷や互換性の問題を引き起こすことがあるため、不要であれば思い切って削除することをおすすめします。
【対策2】データベースを最適化する
長期間運用しているサイトほど、編集履歴(リビジョン)や下書き、削除済み記事のデータなどが蓄積し、不要な情報がパフォーマンスを圧迫していきます。定期的にデータベースを整理・最適化することで、管理画面の動作を軽くし、クエリ処理のスピードを改善することができます。
主な実施内容は以下の4点です。
施策 | 概要 | |
---|---|---|
現在のリビジョンを削除 |
|
|
不要な記事(ゴミ箱・非公開・下書き)を削除 |
|
|
トランジェントを削除 |
|
|
リビジョンの上限を設定 |
|
なお、データベースの最適化は、一度実施するだけでなく、不要データを定期的に削除することで、WordPressのパフォーマンスを長期的に安定させることができます。
なお、WordPressのリビジョンについて詳しく知りたい場合は、以下の記事を参照してください。
WordPressのリビジョンとは?復元方法と最適化設定をわかりやすく解説!
【対策3】サーバー環境を改善する
安定したWordPress運用を実現するためには、サイトの規模や利用状況に応じたサーバー環境の見直しが欠かせません。
単純にレンタルサーバーを上位プランにアップグレードするほかに、共有タイプのレンタルサーバーを利用している場合は、クラウド型ホスティングへの移行を検討することでサーバー環境が改善され、管理画面の応答速度が改善する可能性があります。
現在契約しているサーバーのCPUやメモリ容量を定期的に確認し、処理能力に不足を感じる場合は上位プランへのアップグレードを検討することが望ましいです。サーバーのスペックは、管理画面のパフォーマンスに直結します。
【対策4】WordPressやプラグインを最新の状態にする
WordPress、プラグインは最新バージョンにアップデートすることが推奨されています。現在使用しているWordPressが以下の推奨環境(2025年9月末時点)を満たさない場合は、速やかにバージョンアップを検討してください。
- PHP バージョン 8.3 以上。
- MySQL バージョン 8.0 以上または MariaDB バージョン 10.6 以上。
- HTTPS サポート
出典:https://ja.wordpress.org/about/requirements/
またプラグインは、常に最新の状態に更新してください。
なお、WordPress本体やプラグインのアップデートを行う際には、互換性の確認が欠かせません。使用中のテーマや他のプラグインとの相性によっては、アップデート後に不具合が発生することもあるため、事前にバックアップを取得し、慎重に対応することが望ましいです。
【対策5】ブラウザの拡張機能を整理する
使用中のブラウザの拡張機能が干渉している場合もあるため、まずはシークレットウィンドウ(拡張機能が無効な状態)で管理画面を開き、動作が改善するか確認しましょう。
もし、快適に動作する場合は、ひとつずつ拡張機能を一時的に無効化し、管理画面の動作が改善されるかどうかを確認することが有効です。
特定の拡張機能が原因であることが判明した場合は、代替手段の検討や設定の見直しを行ってください。
【対策6】Heartbeat APIの設定を見直す
Heartbeat APIは15秒~120秒ごとに実行されます。初期状態は15秒ごとに通信を行う設定になっているため、間隔を長くすることで負荷が軽減されます。functions.phpを書き換える方法のほか、「Control Heartbeat」などの専用プラグインを導入して通信間隔を調整する方法があります。
wp.geek編集部 解説:管理画面の速度が業務効率に直結する
項番 | チェック内容 | 対応 |
---|---|---|
1 |
|
不必要なプラグイン・テーマを整理する |
2 |
|
データベースを最適化する |
3 |
|
サーバー環境を改善する |
4 |
|
WordPressやプラグインを最新の状態にする |
5 |
|
ブラウザの拡張機能を整理する |
6 |
|
Heartbeat APIの設定を見直す |
WordPressの管理画面が遅くなる原因は、プラグインの過剰な利用、サーバー性能の不足、データベースの肥大化など、複数の要素が複雑に絡み合っていることが多く見受けられます。まずは現状を正しく把握し、どの部分にボトルネックがあるのかを丁寧に調査することが、改善への第一歩となります。
そのうえで、不要なプラグインの整理やPHPのバージョンアップ、データベースの最適化など、具体的な対策を段階的に実施することで状況は着実に向上します。管理画面の快適さは、日々の運用効率だけでなく、担当者のストレス軽減にも直結するため、サーバー環境の見直しを含めた定期的な診断とメンテナンスは、企業にとって欠かせない取り組みと言えるでしょう。
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