基礎知識 2025.09.22

WordPressのダウングレードの手順を徹底解説。バージョンアップで不具合が発生した場合の対処法

この記事を書いた人

土井 純也

WordPressスペシャリスト・エンジニア/株式会社デジタルアイデンティティ Tech Div.マネージャー

WordPress専門サービス「wp.make」を立ち上げ、事業責任者として200社以上の大手上場企業のWordPressサイトの制作、保守・セキュリティをサポート。2022年にエンジニアを統括するTechnology Div.を創設。

【 展開しているサービス一覧 】
■WordPress開発サービス「wp.make
■WordPress保守/運用サービス「wp.support
■WordPressハッキング/緊急復旧対応サービス「wp.rescue
■WordPressバージョンアップ代行サービス「wp.versionup

WordPressのアップデートを実施すると、直後に以下のような不具合が起こることがあります。

  • 管理画面にログインできない
  • Webサイトのデザインが崩れた
  • 画面が真っ白になった
  • エラーメッセージが表示される

このような場合、一時的にダウングレード(バージョンダウン)をすることで不具合を解消できる可能性があります。

そこで、本記事ではWordPressのダウングレードの手順を詳しく解説します。

なぜWordPressのダウングレードが必要になるのか?

はじめに、通常はWordPressを古いバージョンで使い続けることは推奨されません。ダウングレードを実施した場合も、長期的にその状態で放置することは避けるべきと言えます。なぜならWordPressは、アップグレードを実施することによって脆弱性を修正し、Webサイトのセキュリティ性を高めているためです。古いバージョンのWordPressでは外部からの攻撃を受けるリスクが上がってしまいます。

ただし、冒頭で述べた通り状況に応じてダウングレードが必要になるケースはあります。以下は、WordPressのダウングレードが必要になる一般的な2つのケースです。

プラグインやテーマに互換性がない

WordPressをアップデートした際にもっとも多く発生するトラブルの1つです。使用しているプラグインやテーマが最新のバージョンに対応していないと、WordPressのアップデートを実施することで、Webサイトが機能しなくなってしまいます。

このようなトラブルの解決方法としてはプラグインやテーマを変更することが推奨されており、その際に一時的にWordPressのダウングレードが必要になります。

PHPのバージョンが古い

プラグインやテーマに不具合が発生する原因の1つとして、PHPのバージョンが古いことが挙げられます。

2025年8月時点でWordPressが推奨しているPHPのバージョンは8.3以上です。

ただし、WordPress本体のバージョンによって対応するPHPバージョンは異なり、最新のWordPress 6.4以上であればPHP 8.3に対応していますが、古いWordPressの場合は逆に新しいPHPに対応していないケースがあります。
古いバージョンのWordPressは古いバージョンのPHPでしか動作しないため、状況に応じて以下の公式リストを参照し、対応する組み合わせを確認してください。
なお、PHP 8.1以下はすでにセキュリティサポート期限が終了しており、脆弱性リスクが高まります。そのため、可能な限りWordPress・PHPともに最新のバージョンを利用することを強く推奨します。

参照:PHP の互換性と WordPress のバージョン

すぐにPHPをアップグレードできない場合、一時的にWordPressをダウングレードすることで、プラグインやテーマに発生した不具合を解消できます。

WordPressをダウングレードする方法は3つ

WordPressをダウングレードする方法には、「プラグインを使う方法」「手動でおこなう方法」「バックアップを復元する方法」の3つがあります。以下の表はそれぞれのメリット、デメリットをまとめたものです。

メリット デメリット
プラグインを使う方法
  • FTPの知識が不要であり、初心者でも簡単
  • プラグインの相性によっては正常にダウングレードが実施されない
  • プラグインの導入が必要
手動でおこなう方法
  • プラグインの導入が不要
  • プラグインの相性に左右されない
  • FTPの知識が必要で初心者には難しい
  • 失敗するとWebサイトに重大な不具合が生じる
バックアップを復元する方法
  • 失敗が少ない
  • 古いバージョンのバックアップファイルが必要

基本的にはプラグインを使う方法、またはバックアップを復元する方法がおすすめです。専門的な知識が不要で、比較的簡単にWordPressのダウングレードを実施できます。

古いバージョンのバックアップファイルが残っている場合はバックアップを復元する方法を、残っていない場合はプラグインを使う方法を試してみてください。

プラグインを使ってダウングレードする手順

ここからは、3つのダウングレード方法の手順を解説していきます。まずはプラグインを使ってWordPressのダウングレードを実施するケースです。

なお、今回はプラグイン「WP Downgrade」の使用を想定して解説します。

1.プラグイン「WP Downgrade」をインストール・有効化する

はじめに、「WP Downgrade」をインストール・有効化します。
1.プラグイン「WP Downgrade」をインストール・有効化する

2.WP Downgradeの設定画面を開く

続いて設定画面を開きます。
2.WP Downgradeの設定画面を開く

3.ダウングレードしたいバージョンを入力する

「WordPress ターゲット バージョン」の欄に、ダウングレードしたいバージョンの数字を入力し、「変更を保存」をクリックした後、ダウングレードを実施します。
3.ダウングレードしたいバージョンを入力する

4.ダウングレードしたいバージョンを再インストールする

遷移した先のページで「再インストール」をクリックします。
4.ダウングレードしたいバージョンを再インストールする

5.入力したバージョンを削除し、最新に戻す

ダウングレード後、不具合が解消したら同様の手順で最新のバージョンに戻します。

手動でダウングレードする手順

続いて手動でダウングレードを実施する手順を解説します。

1.公式サイトのリリースページにアクセスする

はじめにWordPress公式サイトのリリースページにアクセスします。

2.古いバージョンのzipファイルをダウンロードする

リリースページにて、アップグレード前に利用していたバージョンのzipファイルをダウンロードします。
2.古いバージョンのzipファイルをダウンロードする

3.古いWordPressバージョンをアップロードする

ダウンロードしたzipファイルを解凍し、「wp-content」のフォルダを削除します。
3.古いWordPressバージョンをアップロードする

4.WordPressの管理画面からデータベースを更新する

FTPソフトを使ってWebサイトのファイルにアクセスし、「wp-admin」と「wp-includes」のディレクトリを削除したうえで、インストールしたファイル(削除した「wp-content」を除く)をアップロードします。

この時、「ターゲット ファイルは既に存在しています」とメッセージが表示されるので、「上書き」>「OK」を選択します。

バックアップを復元してダウングレードする手順

バックアップを復元してダウングレードする(以前の状態に戻す)には、レンタルサーバーのバックアップ機能を利用します。

前提として、バックアップを復元してダウングレードをするためには、事前に古いバージョンのバックアップファイルを取得しておく必要がありますので、ファイルが残っているかどうかを確認しましょう。

ファイルが残っていたら、レンタルサーバーごとのやり方に沿ってデータを復元します。

エックスサーバーの場合:サーバーパネルから「MySQL復元」または「バックアップ」>「自動バックアップデータから復元」

さくらのレンタルサーバーの場合:コントロールパネルから復元したいバックアップ
を選択して「本番サーバーへリリース」

ConoHa WINGの場合:コントロールパネルの「自動バックアップ」から
復元したいWebデータまたはDBデータを選択して「復元」

WordPressバックアップ&復元方法をやさしく解説

WordPressをダウングレードする際の注意点

最後に、WordPressをダウングレードする際の注意点をまとめました。ダウングレードを実施する前に目を通しておくことをおすすめします。

不具合が解消したら最新バージョンに戻す

「なぜWordPressのダウングレードが必要になるのか?」でも述べた通り、WordPressのダウングレード実施後は、迅速に不具合の原因を取り除き、最新のバージョンに戻しましょう。

古いバージョンのまま使い続けていると、セキュリティ面の脆弱性を突かれ、サイバー攻撃などの被害に遭うリスクが高まってしまい、安全性に不安が残ります。万が一の際にはWebサイトに甚大な影響が及んだり、ユーザーからの信頼を失ってしまったりする恐れがあるため、ダウングレードしたまま放置することがないようご注意ください。

事前にWebサイトのバックアップをとる

WordPressのダウングレードには、セキュリティの脆弱性やデータの損失、Webサイトのダウンタイム・エラーの発生など、さまざまなリスクがあります。ダウングレードをしたことによって、新たなトラブルが発生しないとも限りません。

万が一トラブルが発生した場合に備えて、事前にWebサイトのバックアップをとっておくようにしておきましょう。バックアップはプラグインを利用すると簡単です。

WordPressバックアップ&復元方法をやさしく解説
BackWPupの使い方・設定方法まとめ

プラグインを無効化しておく

プラグインが有効化されていると、ダウングレードの際にエラーが発生する可能性があります。

例えば本記事で紹介したプラグイン「WP Downgrade」が、正常に動作しないトラブルが知られています。これは、他のプラグインがWordPressのアップデートを制御していることが原因と考えられます。

スムーズにダウングレードを実施して不具合を解消するため、事前に「WP Downgrade」を除くすべてのプラグインを無効化しておきましょう。同様の理由でテーマも互換性のある標準のものに変えておくことをおすすめします。

まとめ

本記事ではWordPressのダウングレードの手順を詳しく解説しました。

WordPressのアップデートを実施した後、不具合を解消する過程で一時的にダウングレードが必要になる場合があります。このためダウングレードの方法は把握しておくべきですが、基本的に古いバージョンのままWebサイトの運営を続けることはリスクが大きいので避けましょう。ダウングレードを実施した場合も、迅速に不具合を解消し、最新バージョンに戻すことを心がけてください。

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